『サン・フィアクル殺人事件』第一章の文です。
その乾いたかさこそいう音が夜の間に霜が降りたことを告げていた。
この文を、点訳する場合にどのように区切るべきか、以下に検討します。
ます、これが、文の構造として「文」に該当することを確認します。
文の定義は、「完全な意味を持つ最も大きな言語単位」です。🫱「文の構造」
主語と述語を含んで、完全な文章となっています。
主語は「音が」、述語は「告げていた」です。
次に、一つの文においては、生成文法🫱では次のように区分されます。
NP = 名詞句 (Noun Phrase)
VP = 動詞句 (Verb Phrase)
TP = 時制句 (Tense Phrase)
CP = 補足句/文全体 (Complementizer Phrase)
ここで文の構造における「句」を確認します🫱「文の構造」
「句」とは、述語を含まないまとまり(文節の集まり)を言います。
すると、この文で
NP = 名詞句 (Noun Phrase)は、
その乾いたかさこそいう音が
『CP = 補足句』は、文全体を支配する「か」「と」などの接続詞・終助詞などが入るという性質があります。
「その乾いたかさこそいう」は、文全体はではなく、「音が」という主語だけを支配しているので、『その乾いたかさこそいう音が』『霜が降りたことを』全体として「名詞句」とします。
VP = 動詞句 (Verb Phrase)は、
霜が降りたことを告げていた
TP = 「時制」を表す層(副詞句)
夜の間に
すると、分かち書きでは、少なくとも次のように区切ることになります。
その乾いたかさこそいう音が|夜の間に|霜が降りたことを告げていた。
しかし、区切り線が少なくダラダラと点字が並ぶので、読み手にとって負担になると考えられます。
ここで、ラボ流で「7拍基準」というものを設定しています。
ただし、これは、読み手の負担を考えて、必ずしも7泊以上の句は『必ずどこかで区切る』というものではなく、
『7泊基準は立ち止まる警戒線』🫱であり、『読み手の負担を軽減し、また理解を助けるために、どこかで区切ることを検討する』
ということにしています。
まず、簡単なところから
TP = 「時制」を表す層(副詞句)の「夜の間に」は
よるのあいだに
きっちり7泊ですので、続け書きします。
なぜなら「発話文節」を考慮すると通常、「夜の間に」と続けて発話し、「夜の」と「間に」を区切ることはないと考えられるからです。
⭐️まさに「よるのお〜あいだにい〜🎵」と歌に出てきそうな、まさにフレーズ「句」です
NP = 名詞句 (Noun Phrase)
その乾いたかさこそいう音が
続けて書くと、確実に7拍を超えるので、読み手の負担を考慮すれば、どこかで立ち止まる、ひと息いれる方がいいと考えます。
生成文法では、次のように順に生成されます
その|音が
その|乾いた|音が
その|乾いた|かそこそいう|音が
「かそこそいう」は、「かさこそという」の「と」が抜けてしまった一つの「副詞句」として考えます。
VP = 動詞句 (Verb Phrase)は、
霜が降りたことを|告げていた
ここで、『霧が降りたこと』は、述語(動詞・形容詞・助動詞など)を含む「文」の単位を構成した「節」になっています。🫱
そして、7泊基準の7拍を超えて9拍ありますのでどこかで区切りたいところです。
『点訳の手引き』に従えば
しもが|おりた|ことを
ですが、文末に来た場合に行移しされて、せっかくの「節」としての意味のまとまりが分断されます。
では、ラボ流の「形式名詞の前では区切らない」に従ってこういう区切り方はどうか
しもが|おりたことを
これでは「霜が降りた」という意味を、わざわざ分断することになってしまいます。
では、形式名詞の前で区切るという原則で
しもがおりた|ことを
ただ、この「節」は、「こと」を使って「名詞句」を作っています。
そして発話文節では、続けて発話して意味の理解を助けたいところです。
ここで、「情報の重さを」を考えてみます。🫱
しもがおりたことを
「霜が降りた」が情報の力点が置かれ、形式名詞は文字通り「形式」でしかありません。
極端に言えば、発話の場合、例えば「こと」が聞こえずに「しもがおりた・・を」でも意味を理解することができるのではないでしょうか?
つまり、情報の重さは「しもがおりた」という6拍が明確に読み取ることができれば、意味を理解するのに十分であり、あえて7拍基準に従って内部で区切る必要はないと考えます。
従って、文全体としては、次のように区切ることとします。
その|乾いた|かさこそいう|音が|夜の間に|霜が降りたことを|告げていた。
追記)全体として発話した場合、「かさこそいう音が」は、続け書きした方がいいのではと感じます。
しかし、ここでは、
- 「かさこそいうおとが」が、9拍であること
- 情報量として「かさこそいう」も「音が」も、共に情報量が多いこと
ことから、区切って書くことにしました。
