まだ、未完成です。
「愛国殺人」は、映画監督三谷幸喜本人が、クリスティーの『愛国殺人』について、『古畑任三郎』の脚本を書く上で非常に大きな影響を受けたと語った記事を読んだことがあります。特に影響を受けたのは、筋立てそのものというより、終盤でポアロと犯人が向かい合い、犯人が堂々と話す場面です。それが、古畑と犯人が対峙する場面に通じているという。
確かに、『古畑任三郎』の犯人は、単なる悪人というより、社会的地位・名声・専門能力を持つ人物が多かった記憶があります。政治家、作家、弁護士、医師、大学教授、将棋棋士、歌舞伎役者、人気タレント、会社経営者などなど。
この点は、ポアロの作品にも多いですよ。上流階級、名士、専門職、閉じた共同体の中に入っていき、礼儀正しく話しながら、最後に相手の虚栄や自己正当化を突いて、巧妙に落としていく・・・しかも芝居じみて。
ただ、クリスティはこういうポワロのキャラクターが好きではなくなったと聞いたことがあります。それで、ミス・マープルの作品に移行していったとか。
フランキーの読書感想文
この作品は、BBCのテレビを最初に見てたので、犯人の殺害動機というのがある程度予測できたんですね。でも、小説を読んでいると、最初はさっぱりわかりません。そもそも、被害者は自殺なのか、他殺なのか、いずれにしても動機がさっぱりわからなず、謎が多すぎます。
クリスティのいつものやり口なのか、登場人物が余計な証言、行動するからなおさら複雑になる。スタイルズ事件とは、最初に犯人らしい人物が出てきましたが、今回は自殺も含めて、犯人ぽい人物が多すぎる。
でも、おそらく、ミステリーファンはポワロに接触してきた人物が怪しいのでは?と気づくのではないでしょうか。逆にポワロ自信は、そう感がているか微妙な感じもしました。そもそもそに人物が犯人だとしたら、ほぼ完全犯罪に見えるからです。
ただ、スタイルズ事件でもそうでしたが、そういう場合は、何らかの協力者がいる。そして、ポワロはその協力者から犯人を辿っていったように思えます。
ポワロもあるところはメグレに似たところがあります。
ポアロはよく「メソッド」口にしますが、実は、「メソッド」を重視しているのメグレも同じ、というかメグレはトリックを暴くのはっきり言って下手、でも、犯人を探り出し、真相を語らせ、事件を解決に導く。これは心理的メソド(手法)を巧妙に使ってるんですよね。
ポワロは物的証拠、証言を整理し順序立てるメソッドを使って真相に迫り、犯人に有無を言わせなくするミステリー小説の王道。メグレは各々の人間の性格を整理し順序立てて、殺すとすればこいつしかいないと絞り込んで追い込む。メグレのこのやり方は本格ミステリーファンにはモノ足らないところかもしれません。
しかし、小説の舞台に深く入り込もうとすれば、シムノンの情景描写は極めて秀逸です。翻訳もできるだけその描写を壊さないよう、かつ、日本人にも届くように辞書をめくりめくり、人間心理を読むのが苦手なAIと喧嘩しながら(笑)日本語表現を考えています。
そう考えると、AIは、ポワロの翻訳は得意でも、シムノンの翻訳は下手かもしれません。
あ、つい、メグレ評になってしまいましたが、勘弁してください。
話を戻して、この作品は、テレビでは見ましたが、原文からハイブリッドラボは未完成で、深いところまで読み込んではいません。今のところこんな読書感想文です。
