メグレが生まれ故郷に戻ったのは、一枚の匿名の犯行予告状がきっかけだった。
「死者の日の|第一ミサの最中に|犯行に及ぶ」
パリの司法警察に届いたその紙を目にした瞬間、メグレは思わず呟いた。||サン=フィアクル。||自分が生まれ、少年時代を過ごした村の名前だった。
ミサの最中、サン=フィアクル伯爵夫人が突然息絶えた。||凶器は銃でも毒でもなかった。ミサ典書の中にひそかに忍ばせられた一片の偽新聞記事。心臓の弱い老貴婦人を衝撃死させるために|計算された、冷酷で卑劣な罠だった。
没落した旧家の亡骸、放蕩息子、若い愛人兼秘書、強欲な管理人。メグレは幼少期の記憶と向き合いながら、故郷の闇に分け入っていく。
と言うわけで・・・・
フランキーの読書感想文
普通のこの作品の紹介文としては、上記の通りですが、この作品は、メグレシリーズの中でも、かなり特異な部類に入るのではいないかと。まず、舞台が、メグレの生まれ故郷、そして、殺されたのはこの地方のいわゆる領主である伯爵夫人ですが、ただの伯爵夫人ではありません。メグレが幼少期に憧れた若き美しい思い出の女性なのです!初恋か!?と言うくらい、その昔の思い出の描写が出てきます。そして、この伯爵夫人ですが、そもそも、この小説の日本語タイトルがよくない。「殺人事件」と言うタイトルにしたら、自殺も病死も事故死も無くなるではないか!?死因は心臓発作なので、実は、殺人容疑で、立件起訴はできない事件なのです。「未必の故意」で立件できるか、専門の弁護士さんに聞いてみたいところ。おそrかう、「殺すつもりはなく、脅かすだけだった」と言えば有罪は無理でしょう。たさ、私の解釈は成分法の刑法に基づいた意見なので、陪審員制の国では、どうなるか分かりません。浪寺のフランスは陪審員制だと思いますがどうなんでしょうね。こうした基本的な事件の核心部分においても、特異な小説だと思うわけです。結局、目触れも告訴はしないまま、村から追い出して終わります。
そして、さらに得意と言えるのが、実は、目暮は、はっきりいって、何もしてません!推理はしているようですが、事件を事実上解決に導くのは、伯爵夫人の放蕩息子、メグレが、幼いこと乳母車に乗せられていたと言う、若き元伯爵なのです!そして、その解決の仕方も半端ない、無茶苦茶です。事件として裁判に持ち込むkとができないとわかったサンフィアクル伯爵は、捨て身の作戦に出ます。物理的トリックというか、心理的トリックですね。こういう犯人の追い込み方も珍しいと思います。放蕩息子だった若き伯爵が、本物の悪党に母親を殺された怒りが爆発した描写は息を呑みます。そして、最後は、メグレを見ながら平常心を取り戻す・・・・読み応えありますよ!自分も母親をああいう形で殺されたとしたら、あれくらいやるかもしれません。そして、警察官なら止めるべき暴力シーンを何も言わすに眺めている。推理小説というより、ノアールな部分が多いミステリー小説でしょう。この話は、書きたことが山ほどあるのですが、この辺で・・・
