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第5章(ページ31)
「公園で|少し|アイアンの|練習を|しても|よいですか?」と、|ルーシーは|聞いた。
「ええ、|もちろん。||ゴルフが|お好きなの?」
「あまり|上手では|ないけれど、|練習は|続けたくて。||ただ|歩くより|楽しい|運動ですから」

「この|辺りは|歩ける|場所も|ない」|とクラッケンソープ|老人は|ぶつぶつ|言った。||「舗装道路と|みじめな|小さな|家々ばかりだ。||わしの|土地を|手に|入れて|もっと|建てたいと|思って|いる|やつらが|いる。||でも|わしが|死ぬまでは|させない。||誰かの|都合で|死んで|やる|気は|ない。||誰のためにも|死んで|やらんぞ」
エマ・クラッケンソープは|穏やかに|言った。|「お父さん、|もう」
「みんなが|何を|考えて|いるか、|何を|待って|いるか、|わかって|いる。||セドリックも、|したり顔の|ずる賢い|ハロルドも。||アルフレッドに|至っては、|なぜ|もう|わしを|始末して|しまわないのか|不思議なくらいだ。||クリスマスの|ときは|やったかも|しれない。||あの|とき|妙な|発作が|あって、|クインパー|先生を|困らせた。||あれこれ|さりげない|ことを|聞いて|いたな」
「消化不良は|誰にでも|たまに|ありますよ、|お父さん」
「わかった、|わかった、|食べ過ぎたと|はっきり|言えば|いい。||そういう|ことだろう。||なぜ|食べ過ぎたか?||食卓に|食べ物が|多すぎたからだ。||まったく|多すぎる。||無駄で|贅沢だ。||そういえば、|きみ、|昼食に|ジャガイモを|五つも|出して、|しかも|大きいやつを。||ジャガイモは|二つで|十分だ。||今後は|四つ以上は|出すな。||今日の|余りは|無駄に|なった」
「無駄に|なって|いませんよ、|クラッケンソープ様。||今夜の|スペイン風|オムレツに|使う|つもりです」
「ふん!」|コーヒーの|トレイを|持って|部屋を|出る|とき、|老人の|声が|聞こえた。|「なかなか|やり手の|娘だな、|いつも|口答えが|できる。||料理は|うまいし、|顔も|なかなかだ」

ルーシー・アイルズバロウは|あらかじめ|持ってきて|いた|ゴルフクラブから|軽い|アイアンを|取り出して、|フェンスを|乗り越えて|公園へ|出た。
ショットを|繰り返し|打ち始めた。||五分ほど|して、|スライスした|ボールが|鉄道の|築堤の|斜面に|落ちた。||ルーシーは|上って|ボールを|探し始めた。||屋敷を|振り返ると、|遠くに|あって|誰も|こちらに|注意を|払って|いなかった。||ボールを|探し続けながら、|ときおり|築堤から|草地へ|向けて|ショットを|打った。
午後の|間に|築堤の|三分の一ほどを|探した。||何も|なかった。
ルーシーは|ボールを|打ちながら|屋敷へ|戻った。
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翌日、|ルーシーは|何かを|見つけた。||築堤の|中ほどに|生えていた|いばら|の|茂みが|折れて|いた。
折れた|枝が|あたりに|散らばっていた。||ルーシーは|茂みを|調べた。||棘の一本に|毛皮の|切れ端が|引っかかっていた。||木と|ほぼ|同じ色で、|薄い|茶色だった。||ルーシーは|少し|見てから、|ポケットから|はさみを|出して|慎重に|半分に|切った。||切り取った|半分を|ポケットに|入っていた|封筒に|入れた。
急な|斜面を|下りながら|ほかに|何か|ないか|探した。||草地の|粗い|草を|注意深く|見た。||誰かが|長い|草の|中を|歩いた|跡の|ような|ものが|かすかに|見えた。||でも|とても|薄く、|自分の|足跡ほど|はっきりして|いなかった。||かなり|前に|つけられた|ものらしく、|想像かも|しれないと|思うほど|かすかだった。
築堤の|下の|折れた|いばらの|茂みの|真下あたりの|草を|丁寧に|探し始めた。||やがて|報われた。||安物の|小さな|エナメルの|コンパクトを|見つけた。
ハンカチで|包んで|ポケットに|入れた。||探し続けたが|ほかには|何も|見つからなかった。

翌日の|午後、|車に|乗って|病気の|叔母を|見舞いに|行った。
エマ・クラッケンソープは|親切に|言った。|「ゆっくり|してきて。||夕食まで|いなくて|いいから」
「ありがとうございます。||でも|六時までには|戻ります」
マディソン|ロード|4番地は|小さな|地味な|通りに|ある|小さな|地味な|家だった。||とても|清潔な|ノッティンガム|レースの|カーテン、|白く|光る|玄関の|石段、|よく|磨かれた|真鍮の|ドアノブが|あった。
扉を|開けたのは|背が|高く|厳しい|顔つきの|女性で、|黒い|服を|着て|鉄色の|髪を|大きく|まとめていた。
ルーシーを|疑わしそうに|値踏みしながら|ミス・マープルの|部屋へ|案内した。
ミス・マープルは|小さくて|きちんとした|庭に|面した|裏の|居間に|いた。||部屋は|ひどく|清潔で、|マットや|レースの|敷物が|たくさん|あり、|陶器の|飾り物が|所狭しと|並び、|大きめの|ジャコビアン様式の|家具|一式と|二鉢の|シダが|あった。||ミス・マープルは|暖炉の|そばの|大きな|椅子に|座って|かぎ針編みに|せっせと|励んでいた。
ルーシーは|入って|扉を|閉めた。||ミス・マープルと|向かい合った|椅子に|座った。
「どうやら|あなたが|正しかったようです」|と|彼女は|言った。
ルーシーは|見つけた|ものを|出して、|見つけた|状況を|詳しく|説明した。
ミス・マープルの|頬に|かすかな|達成感の|色が|浮かんだ。
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「そう|感じるのは|よくない|かも|しれないけど」|と|彼女は|言った。|「でも|理論を|立てて|それが|正しかったと|証明される|のは|うれしい|ものね!」
毛皮の|小さな|束を|指で|なでながら|続けた。
「エルスぺスは|あの|女性が|明るい色の|毛皮の|コートを|着ていたと|言ったわ。||コートの|ポケットに|入って|いた|コンパクトが、|遺体が|斜面を|転がり|落ちるときに|飛び出たのでしょう。||特に|目立つ|ものでは|ないけれど、|手がかりに|なるかも|しれない。||毛皮は|全部|取って|こなかった|のね?」
「ええ、|半分は|棘に|残して|きました。」|ミス・マープルは|うなずいて|言った。
「正しい|判断よ。||あなたは|とても|賢いわ、|ねえ。||警察が|正確に|確認する|必要が|あるから」
「これを|警察に|持って|行くのですか?」
「そうね、|まだ|少し|待った|方が|いいと|思う。||まず|遺体を|見つけた|方が|いいと|思わない?」
「そうですね、|でも|それは|かなり|難しい|注文では?||あなたの|推測が|正しいとして、|犯人は|遺体を|列車から|投げ出して、|おそらく|ブラックハンプトンで|降りて、|たぶん|その夜の|うちに|戻って|きて|遺体を|運び去った。||でも|その後は|どこにでも|持って|いけますよね」
「どこにでも|というわけでは|ないわ」|とミス・マープルは|言った。|「論理的な|結論まで|考えて|いないと|思うわ、|ミス・アイルズバロウ」
「ルーシーと|呼んで。||なぜ|どこにでも|ではないの?」
「もし|そうなら、|人気の|ない|場所で|女性を|殺して|そこから|遺体を|運び去る|方が|ずっと|簡単だったはずよ。||あなたは|まだ|気づいて|いない|ことが|あって」
ルーシーは|さえぎった。
「まさか、|これは|計画的な|犯行だったと|いうこと?」
「最初は|そう|思わなかったわ」|とミス・マープルは|言った。|「自然にそう|思うわよね。||口論して|かっとなって|首を|絞めて、|遺体を|どう|するかという|問題に|直面した、|数分以内に|解決しなければ|ならない|問題に。||でも|偶然に|かっとなって|女性を|殺して、|窓の|外を|見たら|ちょうど|列車が|カーブして|いて、|遺体を|放り出して|後で|回収できる|場所が|あったというのは、|できすぎた|話よ。||もし|そこに|ただ|偶然に|放り出した|だけなら、|そのまま|放って|おいたはずで、|遺体は|とっくに|見つかって|いたはずよ」
ミス・マープルは|言葉を|切った。||ルーシーは|じっと|見た。
「これは|なかなか|巧妙な|計画だと|思う|わ」|とミス・マープルは|考えながら|言った。|「とても|慎重に|計画された|と|思う。||犯罪には|何か|とても|匿名性が|あって」

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「列車には|何か|とても|匿名性が|あるの。||彼女が|住んで|いた|場所や|滞在して|いた|場所で|殺せば、|誰かが|来たり|去ったりするのを|見て|いたかも|しれない。||田舎に|車で|連れ出せば、|誰かが|車を|見て|番号や|車種を|覚えて|いたかも|しれない。||でも|列車は|見知らぬ人が|来たり|去ったりする|場所よ。
廊下の|ない|車両で|二人|きりなら、|とても|簡単よ。||特に|次に|何を|するかを|正確に|わかって|いれば。||彼は|知っていた、|知って|いなければ|ならない、|ラザフォード・ホールの|ことを。||地理的な|位置、|つまり|鉄道線路に|囲まれた|島のような|不思議な|孤立を」
「まさに|その|通りです」|とルーシーは|言った。|「過去から|取り残された|時代遅れの|場所ですよ。||周りは|賑やかな|都市生活が|広がって|いるのに、|そこには|触れて|いない。||商人が|午前中に|配達に|来るだけで」
「では|おっしゃった|ように、|犯人は|その夜|ラザフォード・ホールへ|やって|きた|と|仮定しましょう。||遺体が|落ちた|のは|すでに|暗く|なって|からで、|翌日まで|誰にも|発見される|見込みは|ない」
「そうですね」
「犯人は|どうやって|来たのかしら?||車で?||どの|道から?」
ルーシーは|考えた。
「工場の|塀に|沿った|荒れた|裏道が|あります。||たぶん|そこから|来て、|鉄道の|アーチを|くぐって|裏の|私道を|通った|でしょう。||それから|フェンスを|乗り越えて|築堤の|下を|進んで|遺体を|見つけ、|車まで|運んだ」
「それから」|とミス・マープルは|続けた。|「あらかじめ|選んで|おいた|場所へ|持って|行った。||これは|全部|計画されて|いたのよ。||それに|ラザフォード・ホールから|遠く|離れた|場所には|持って|行かなかった|と|思う。||もし|持ち去ったとしても|そう|遠くは|ない。||どこかに|埋めたの|でしょうか?」|とルーシーを|見ながら|言った。
「たぶん|そうでしょう」|とルーシーは|考えながら|言った。|「でも|言うほど|簡単では|ないかも|しれません」
ミス・マープルは|うなずいた。
「公園に|埋めるのは|無理よ。||大変な|作業だし|目立つ。||すでに|土が|掘り起こされた|場所は?」
「家庭菜園も|ありますが、|庭師の|小屋に|近すぎます。||老人で|耳が|遠いけど、|それでも|危険かも|しれない」
「犬は|いる?」
「いません」
「では|物置か|納屋は?」
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「その|方が|簡単で|早い|わね。||使われて|いない|古い|建物が|たくさん|あるもの。||壊れた|豚小屋、|馬具部屋、|誰も|近寄らない|作業場。||あるいは|どこかの|シャクナゲや|茂みの|中に|押し込んだかも|しれない」
ミス・マープルは|うなずいた。
「そちらの|方が|ずっと|可能性が|高いと|思う|わ」
扉を|ノックする|音が|して、|厳しい|顔の|フローレンスが|トレイを|持って|入ってきた。
「お客様で|よかったですね」|と|フローレンスは|ミス・マープルに|言った。|「以前|お好きだった|特製の|スコーンを|作りましたよ」
「フローレンスの|スコーンは|いつも|最高だったわ」|とミス・マープルは|言った。
フローレンスは|喜んで、|思いがけない|笑顔を|見せて|部屋を|出て|いった。
「ねえ」|とミス・マープルは|言った。|「お茶の|間は|殺人の|話は|やめましょう。||なんとも|気持ちの|悪い|話題だもの!」
ⅠⅠ
お茶の|後、|ルーシーは|立ち上がった。
「戻ります」|と|彼女は|言った。|「すでに|お伝えした|ように、|ラザフォード・ホールに|実際に|住んで|いる|人の|中に|私たちが|探している|男は|いません。||いるのは|老人と|中年の|女性と|耳の|遠い|老庭師だけですから」
「その|男が|実際に|そこに|住んで|いるとは|言って|いないわ」|とミス・マープルは|言った。||「ただ|ラザフォード・ホールを|よく|知っている|人だということ。||でも|遺体を|見つけてから|詳しく|調べましょう」
「自信を|持って|見つかると|思って|いるのですね」|とルーシーは|言った。|「私は|そんなに|楽観的に|なれませんが」
「あなたなら|きっと|できるわ、|ルーシー。||あなたは|とても|有能な|人だもの」
「ある|意味では|そうですが、|遺体を|探した|経験は|ありません」
「少しの|常識が|あれば|できるわ」|と|ミス・マープルは|励ますように|言った。
ルーシーは|じっと|見てから|笑った。||ミス・マープルも|ほほ笑み|返した。
翌日の|午後、|ルーシーは|系統立てて|作業に|取りかかった。
納屋を|のぞき、|古い|豚小屋を|覆う|いばらを|かき分け、|温室の|下の|ボイラー室を|のぞいて|いると、|乾いた|咳払いが|聞こえた。||振り返ると|老庭師の|ヒルマンが|不満そうな|顔で|見ていた。

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「気を|つけて|くださいよ、|お嬢さん」|と|老人は|警告した。|「あの|階段は|危ないし、|さっき|屋根裏に|上がって|いましたが|床も|危ない」
ルーシーは|まったく|動じた|様子を|見せなかった。
「詮索しすぎと|思っているでしょうね」|と|彼女は|明るく|言った。|「この|場所で|何か|できないかと|思って。||市場向けに|キノコを|育てるとか。||何もかも|ひどく|放置されていますね」

「それは|旦那様の|せいですよ。||一銭も|使わない。||きちんと|管理するには|二人と|助手が|一人|必要なのに、|聞く|耳を|持たない。||電動芝刈り機を|買わせるのでさえ|やっとでした。||表の|芝全部を|手で|刈れと|言うんですよ」
「でも|修理すれば|採算が|取れるかもしれないのに」
「こんなに|荒れた|場所では|無理ですよ。||それに|旦那様は|そんなことは|どうでも|いい。||節約することしか|頭にない。||自分が|死んだ|後は|坊ちゃんたちが|すぐに|売り払うと|わかっている。||死ぬのを|待っているんですよ。||亡くなったら|かなりの|お金が|入ると|聞いています」
「かなりの|資産家なの?」|とルーシーは|言った。
「クラッケンソープの|いいもの、|というのが|あって。||旦那様の|お父上が|始めた|ものです。||あの|方は|切れ者だった|そうで。||財を|成して|この|屋敷を|建てた。||鉄のように|厳しくて、|恨みは|決して|忘れない|人だったと|いいます。||でも|気前は|よかった。||けちな|ところは|まったく|なかった。||二人の|息子には|失望した|という|話です。||教育を|受けさせて|紳士に|育てた。||オックスフォードまで|行かせて。||でも|紳士すぎて|家業には|入りたがらなかった。||弟は|女優と|結婚して、|酔った|まま|車の|事故で|亡くなった。||兄の|こちらの|旦那様は|お父上に|あまり|気に|入られて|いなかった。||外国に|よく|行って、|異教徒の|像を|たくさん|買って|送ってきた。||若い|ころは|今ほど|けちでは|なかったが、|中年に|なってから|そう|なった。||お父上とは|仲が|よくなかったと|聞いています」

ルーシーは|礼儀正しい|興味を|見せながら|この|情報を|頭に|入れた。||老人は|壁に|もたれて|話の|続きを|しようとした。||仕事より|おしゃべりの|方が|好きなのだ。
「戦前に|亡くなったので、|旦那様の|お父上は。||ひどい|癇癪持ちで。||口答えしようものなら|大変だった」
「亡くなってから、|今の|クラッケンソープ様が|ここに|住むように|なったの?」
「ご家族と|一緒に。||そのころには|もう|ほぼ|大人に|なっていました」
「でも|確か。||ああ、|第一次大戦のことを|おっしゃって|いるのですね」1
「いいえ。||1928年に|亡くなったのです」
ページ37の原文を取得します。ページ37

1928年が|「戦前」に|なるとは、|ルーシーには|そういう|言い方は|しない|だろうと|思ったが。
「さあ、|仕事が|あるでしょうから。||引き止めて|すみません」
「ああ」|とヒルマン|老人は|気のない|様子で|言った。|「この|時間は|もう|何も|できないけどね。||暗くなりすぎて」
ルーシーは|屋敷へ|戻りながら、|途中で|よさそうな|白樺と|アザレアの|雑木林を|調べた。
玄関ホールで|手紙を|読んで|いる|エマ・クラッケンソープに|出会った。||午後の|郵便が|届いたところだった。

「甥が|明日|友人を|連れて|きます。||アレグザンダーの|部屋は|玄関ポーチの|上の|部屋。||隣が|ジェームズ・ストッダート=ウェストに|使ってもらいます。||二人は|向かいの|浴室を|使います」
「わかりました、|クラッケンソープ様。||部屋の|準備を|します」
「午前中に|昼食前に|着きます」|と|エマは|少し|ためらって|言った。|「お腹を|空かせて|くるでしょうね」
「きっとそうですね」|とルーシーは|言った。|「ローストビーフは|いかがでしょう?||それに|糖蜜タルトも?」
「アレグザンダーは|糖蜜タルトが|大好きなの」
翌朝、|二人の|少年が|やって|きた。||二人とも|きちんと|髪を|とかして、|天使のように|無邪気な|顔を|して、|礼儀が|よかった。||アレグザンダー・イーストリーは|金髪で|青い目、|ストッダート=ウェストは|黒髪で|眼鏡を|かけていた。
昼食の|間、|二人は|スポーツの|話を|真剣に|語り合い、|ときおり|最新の|SF小説の|話を|挟んだ。||その|様子は|まるで|石器時代の|遺物を|論じる|老教授の|ようだった。
二人に|比べると、|ルーシーは|自分が|ずいぶん|若い|気が|した。
サーロインの|ビーフは|あっという|間に|消え、|糖蜜タルトも|一欠けらも|残らなかった。
クラッケンソープ|老人は|ぶつぶつ|言った。|「お前たちは|家の|食べ物を|食い尽くして|しまうな」
アレグザンダーは|青い|目で|たしなめるように|老人を|見た。
「肉が|買えないなら|パンと|チーズで|いいですよ、|おじいさん」
「買えないだと?||買えるわい。||無駄が|嫌いなんだ」

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「一粒も|無駄に|していませんよ」|とストダート=ウェストは|自分の皿を|見おろしながら|言った。||皿は|その証拠を|雄弁に|物語っていた。||「ぼくたちの|ほうが|旦那様より|二倍は|食べますからね」
「ぼくたちは|まだ|体を|つくっている|最中なんです」|とアレグザンダーは|説明した。||「タンパク質を|たくさん|摂らないと|いけないんです」
老人は|鼻を|鳴らした。
二人が|食卓を|離れると、|ルーシーには|アレグザンダーが|友人に|謝るように|言うのが|聞こえた。||「おじいさんの|ことは|気に|しないで。||何か|ダイエットでも|しているのか、|ちょっと|変なんだ。||それに|ものすごく|ケチだし。||一種の|コンプレックスだと|思う」
ストダート=ウェストは|わかると|いうように|うなずいた。||「ぼくの|おばさんも|破産しそうだと|思い込んでいたよ。||実際は|お金は|たっぷり|あったのに。||病的だって|お医者さんが|言っていた。||フットボール、|持ってきた、|アレックス?」

昼食の|片づけと|洗い物を|すませると、|ルーシーは|外に|出た。||遠くの|芝生で|少年たちが|呼び合う|声が|聞こえた。||ルーシーは|少年たちとは|反対の|方向へ|向かい、|正面の|車道を|下って、|シャクナゲの|茂みへと|進んだ。||葉を|かき分け、|中を|のぞきながら|丁寧に|調べはじめた。||茂みから|茂みへと|系統立てて|移動し、|ゴルフクラブで|中を|かき回して|いると、|アレグザンダー・イーストリーの|丁寧な|声に|はっと|した。
「何か|お探しですか、|アイルズバロー|さん?」
「ゴルフボールよ」|とルーシーは|すぐに|答えた。||「実は|いくつか。||毎日の|午後、|ゴルフの|練習を|していて、|だいぶ|なくして|しまったから、|今日こそ|見つけなくては|と|思って」
「手伝います」|とアレグザンダーは|気よく|言った。
「ありがとう。||フットボールを|して|いるんじゃ|なかったの?」
「フットボールは|ずっとは|できない」|とストダート=ウェストは|説明した。||「暑くなりすぎて。||ゴルフは|よく|するんですか?」
「好きだけど、|なかなか|機会が|ないわ」
「そうですよね。||ここで|お料理を|担当して|いるんですよね?」
「そうよ」
「今日の|昼食も|作って|くれたんですか?」
「ええ。||どうだった?」
「最高でした」|とアレグザンダーは|言った。||「学校の|肉は|ひどくて、|パサパサなんです。||中が|ピンクで|ジューシーな|ビーフが|大好きで。||トリークル|タルトも|すごく|おいしかった」

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「好きな|ものを|教えて|くれれば|作る|わよ」
「アップル|メレンゲを|作って|もらえませんか。||一番|好きなんです」
「もちろん」
アレグザンダーは|幸せそうに|ため息を|ついた。
「階段の|下に|クロックゴルフ2の|セットが|あります。||芝生に|並べて|パットの|練習を|しませんか。||どうする、|ストダーズ?」
「やろうよ(Good‐oh!)」|と、|ストダート=ウェストは|言った。
「彼は|本当は|オーストラリア人じゃ|ないんです」|とアレグザンダーは|丁寧に|説明した。||「でも、|来年|両親が|テストマッチを|見に|連れて|いって|くれるかも|しれないから、|オーストラリア人みたいな|しゃべり方を|練習して|いるんです」3
ルーシーに|背中を|押されて、|二人は|クロック|ゴルフの|セットを|取りに|行った。||しばらくして|屋敷に|戻ると、|少年たちが|芝生に|セットを|並べながら|番号の|位置について|言い争って|いた。

「時計みたいには|したくない」|とストダート=ウェストは|言った。||「それじゃ|子供っぽい。||コースに|したいんだ。||長い|ホールと|短い|ホールを|作って。||番号が|さびて|いるのが|残念だな。||ほとんど|見えない」
「白ペンキで|塗れば|いいわ」|とルーシーは|言った。||「明日|買って|きて|塗って|みたら?」
「いい|考えだ」|とアレグザンダーは|顔を|輝かせた。||「ロングバーンに|古い|ペンキが|あったと|思う。||前の|休みに|ペンキ屋さんが|置いて|いった|やつが。||見に|行こうよ」
「ロングバーンって|何?」|とルーシーは|聞いた。
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アレグザンダーは|裏の|車道の|そばに|ある、|屋敷から|少し|離れた|長い|石造りの|建物を|指さした。

「かなり|古いんです」|と|彼は|言った。||「おじいさんは|リークバーンと|呼んで、|エリザベス朝の|ものだと|言っていますが、|それは|見栄を|張っているだけです。||もともとは|ここに|あった|農場の|建物で、|曾祖父が|農場を|取り壊して|この|大げさな|屋敷を|建てたんです」
それから|こう|付け加えた。||「おじいさんの|コレクションが|たくさん|入って|います。||若い|ころ|外国から|送りつけてきた|ものです。||ほとんど|ひどい|代物ですよ。||ロングバーンは|ホイストドライブとか|そういう|催しに|使われることが|あります。||婦人会とか、|保守党の|バザーとか。||見に行きましょう」
ルーシーは|喜んで|ついて|いった。

納屋には|大きな|鋲打ちの|オーク材の|扉が|あった。
アレグザンダーは|手を|伸ばして、|扉の|上部の|右側の|蔦の|すぐ下の|釘に|かかっていた|鍵を|外した。||錠に|差し込んで|回し、|扉を|押し開けると、|三人は|中に|入った。
一目見て|ルーシーは、|ひどく|趣味の|悪い|博物館に|迷い込んだような|気が|した。||二体の|ローマ皇帝の|大理石の|頭部が|飛び出た|眼球で|にらみつけ、|退廃的な|グレコ=ローマン|様式の|巨大な|石棺が|あり、|衣をずり|落としながら|つかんでいる|媚びた|ヴィーナス像が|台座の|上に|立っていた。

これらの|美術品の|ほかに、|折りたたみ式の|テーブルが|二台、|積み上げられた|椅子、|そして|さびた|手押し芝刈り機、|バケツ二個、|虫食いの|車のシート二枚、|脚が|一本|欠けた|緑色に|塗られた|鉄製の|庭用椅子などが|雑然と|置かれていた。
「ペンキは|たしか|こちらに|あったと|思います」|とアレグザンダーは|曖昧に|言った。||隅に|行って、|仕切りに|なっていた|ぼろぼろの|カーテンを|引き|のけた。
ペンキ缶が|二個と|刷毛が|見つかったが、|刷毛は|乾いて|かたく|なっていた。
「テレピン油が|ないと|だめね」|とルーシーは|言った。
しかし|テレピン油は|どこにも|見つからなかった。||少年たちは|自転車で|買いに|行こうと|言い、|ルーシーも|そう|するよう|勧めた。||クロック|ゴルフの|番号を|塗れば、|しばらく|楽しめるだろうと|思った。
少年たちが|出かけ、|ルーシーは|一人で|納屋に|残った。
「ここは|本当に|片づけが|必要ね」|と|つぶやいた。
「わざわざ|しなくて|いいですよ」|とアレグザンダーは|言っていた。||「何か|催しの|ときだけ|片づけますが、|この|時期は|ほとんど|使わないので」
「扉の|外に|鍵を|また|かけておけば|いい?||いつも|そこに|あるの?」
「ええ。||盗む|ものは|何も|ないので。||あの|大理石の|像なんか|欲しい人は|いないし、|それに|一トンも|あるから」
ルーシーは|そうだと|思った。||クラッケンソープ老人の|美術の|趣味は|とても|褒められた|ものでは|なかった。
41ページの原文を確認します。41ページは非常に短いページです。翻訳します。

容易な|作業では|なかったが、|ルーシーは|根気強く|取り組んだ。
バールで|こじると、|ゆっくりと|蓋が|持ち上がりはじめた。
蓋は|中が|見えるほど|持ち上がった。
- 原文は “But surely… Oh, I see, you mean the 1914 war.” です。
「But surely…」のニュアンスを解説します。
「But surely…」は「でも、それはおかしいのでは…」という疑問・違和感の表現です。ルーシーの頭の中はこう動いています。
ヒルマンが「戦前に亡くなった」と言う→ルーシーは1950年代の感覚で「戦前=第二次大戦前=1939年以前」と理解する→「でも待って、子供たちがほぼ大人になっていたというなら、時代が合わないのでは…」と引っかかりを感じる→「あ、そうか、第一次大戦(1914年)以前のことをおっしゃっているのね」と自分で合点がいく
つまり「でも確か」は、ルーシーが一瞬計算が合わないと感じて疑問を口にしかけ、すぐ自分で答えを見つけた瞬間を表しています。しかし、実際に亡くなったのは1928年で、第2時世界大戦の戦前にあたります。それで、ルーシーは第1次大戦と早合点していたことに気づいて、「1928年が|「戦前」に|なるとは、|ルーシーには|そういう|言い方は|しない|だろうと|思ったが」という感想になるわけです。
↩︎ - クロックゴルフは、主に庭や芝生で楽しむイギリス発祥の簡易ゴルフゲームです。
時計の文字盤のように、中央の穴(カップ)を囲んで1番から12番までの番号札を円形に配置します。各番号の位置からカップに向かってパット(打つ)し、何打で入ったかを競います。
1950年代のイギリスでは子供から大人まで広く親しまれた庭遊びで、本格的なゴルフコースがなくても楽しめる手軽さが魅力でした。
本文でストダート=ウェストが「時計みたいにしたくない、コースにしたい」と言っているのは、番号を円形に並べる本来のルールに従わず、長いホールや短いホールを自由に配置して、より本格的なゴルフコース風にアレンジしたかったからです。少年らしい工夫ですね。
↩︎ - これは1950年代イギリスの少年らしいユーモラスな場面です。
原文の「Good‐oh!」というのはオーストラリア英語やオーストラリア風のスラングで、「いいね!」「やったー!」という意味の感嘆詞です。ストダート=ウェストはイギリス人なのに、わざわざオーストラリア人風の言い回しを使っています。
その理由をアレグザンダーが説明しています。来年、両親がクリケットのテストマッチ(イングランド対オーストラリアの国際試合)を見にオーストラリアへ連れて行ってくれるかもしれないので、現地で自然に溶け込めるよう、オーストラリア人のしゃべり方を今から練習している、というわけです。
クリケットのテストマッチはイギリスとオーストラリアの間で非常に重要な伝統的試合で、アッシュズと呼ばれます。1950年代の少年にとって憧れのイベントであり、こういった子供らしい微笑ましいユーモアがアガサ・クリスティの作品の魅力の一つです。 ↩︎


