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「伯爵さまが|お会いに|なれるかどうか、|見てまいります」

しかし|警部は|執事が|その言葉を|言い終える|暇を|与えなかった。||彼は|廊下に|入り、|書斎の方へ|向かった。||そのあいだ、|執事は|あきらめたように|ため息を|ついた。||もはや|体裁を|取り繕う|手立てさえ|なかった。||人々は|まるで|水車小屋に|入るように|出入りしていた。||総崩れだった。
書斎の|扉を|開ける|前に、|メグレは|いったん|足を|止めた。||だが|それは|無駄だった。||何の|物音も|聞こえなかったからだ。||そのせいで、|かえって|彼の|入室は|印象的なものに|なった。
神父は|別の|場所に|いるのかもしれないと|思い、|彼は|扉を|叩いた。||すると|すぐに、|部屋の|完全な|静けさの中から、|きわめて|はっきりした、|きわめて|硬い声が|上がった。

「お入りください」
メグレは|扉を|押し開け、|偶然、|暖房の|吹き出し口の上で|足を|止めた。||サン・フィアクル伯爵は|ゴシック風の|テーブルに|軽く|もたれて|立ち、|彼を|見ていた。

そのそばで、|神父は|絨毯を|見つめたまま、|きびしく|動きを|止めていた。||まるで|一つでも|動けば、|それだけで|自分を|裏切ってしまうかのようだった。
二人は|そこで|何を|していたのか。||口も|きかず、|動きも|せずに。||悲劇的な|場面に|割り込むほうが、|この|沈黙に|出くわすより|まだ|気楽だっただろう。||その|沈黙は|あまりにも|深く、|声が|水へ|投げ込まれた|小石のように、|そこに|同心円を|描くかのようだった。
またしても|メグレは|サン・フィアクルの|疲労を|感じ取った。||神父の方は、|打ちのめされた|様子で、|その|指は|聖務日課書の|上で|落ち着きなく|動いていた。

「邪魔して|すまんな」
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それは|皮肉のように|響いた。||だが|そういう|つもりでは|なかった。||もっとも、|物のように|動かない|人間たちの|邪魔など、|できるものだろうか。

「銀行から|聞いた」
伯爵の|視線が|神父に|向けられた。||その|目は|険しく、|ほとんど|怒りを|帯びていた。
この|場面は|ずっと|その調子で|進んでいくことに|なった。||まるで|チェスの|差し手たちが、|額に|手を|当てて|考えこみ、|駒を|一つ|動かすまで|何分も|黙りこみ、|そのあと|また|動かなくなるようだった。
だが、|彼らを|そのように|動けなくしていたのは、|考えごとでは|なかった。||メグレには、|それが|一つの|誤った|動き、|不手際な|一手を|恐れる|気持ちなのだと|思えた。||三人の|あいだには|はっきりしないものが|あった。||そして|それぞれが、|しぶしぶ|駒を|進め、|いつでも|引っ込められるように|していた。

「私は|葬儀についての|指示を|いただきに|来たのです!」と、|神父は|言わずに|いられなかった。
それは|本当では|なかった!||置き場所を|誤った|駒だった!||あまりに|まずい|一手だったので、|サン・フィアクル伯爵は|微笑んだ。

「あなたが|銀行に|電話すると|思っていました!」と、|彼は|言った。
「そして、|私が|なぜ|あの方法を|とったのか|理由も|打ち明けましょう。||それは、|城を|出ようとしなかった|マリー・ヴァシリエフを|追い払うためです。||私は|彼女に、|それが|最優先のことだと|思わせたのです」

そして|神父の|目の中に、|今や|メグレは|苦悩と|非難を|読み取った。

『ああ、|不幸な人だ。||自分から|深みに|はまっている。||罠に|落ちている。||もう|だめだ』
神父は|そう|考えているに|違いなかった。
沈黙。||マッチの|擦れる音。||警部が|一つずつ|吐き出す|煙草の|煙。||そして|彼は|尋ねた。

「ゴーティエが|金を|準備したのか?」
ごく|短い|ためらいが|あった。

「いいえ、|警部。||お話しします」
劇が|演じられていたのは、|サン・フィアクルの|顔の|上では|なかった。||神父の|顔の|上だった。||彼は|青ざめていた。||唇は|苦しげに|固く|結ばれていt。||口を|挟まないように|自分を|抑えていた。

「聞いてください」
神父は|もう|耐えきれなかった。


「どうか、|私たちが|二人で|話をするまで、|この会話を|中断して|いただけませんか」
モーリスの|唇には、|先ほどと|同じ|微笑が|浮かんでいた。||いちばん|良い|蔵書を|失った|広すぎる|部屋は|寒かった。||暖炉には|薪が|用意されていた。||あとは|マッチを|投げ入れるだけだった。
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「ライターは|あるか、|それとも」
モーリスが|暖炉の前に|かがんでいる間、|神父は|メグレに|絶望的な、|すがるような|視線を|送った。

「では」と|伯爵は|二人の|方へ|戻りながら|言った。
「簡単に|状況を|説明します。||理由は|わかりませんが、|善意に|あふれた|神父様は、|私が|母を|殺したと|思っている。||言葉を|恐れることも|ないでしょう?||殺したと!||これは|たしかに|犯罪ですよね?||たとえ|法律で|完全に|裁ける|性質の|ものでは|ないとしても」
神父は|もはや|動かず、|危険が|降りかかるのを|感じながら|どうにも|できない|動物のように、|震えながらも、|じっと|立っていた。

「神父様は|母に|深く|尽くして|いた。||城に|スキャンダルが|降りかかるのを|防ごうとされたのだろう。||昨夜、|聖具係を|通じて|千フラン札を|四十枚と|短い|手紙を|送って|くださった」
神父の|目が|疑いようもなく|語っていた。

『なんと|いうことを。||自分で|自分を|滅ぼしていく』

「手紙が|これです」と|モーリスは|続けた。

メグレは|小声で|読んだ。
「お気をつけて。||あなたのために|祈っています」
ほっとした。||まるで|新鮮な|空気が|一気に|入って|きた|ようだった。||その瞬間、|モーリス・ド・サン・フィアクルは|もはや|地に|縛りつけられた|感覚から|解き放たれた。||同時に|本来の|自分らしくない|重々しさも|消えた。
軽い|足取りで|歩き始めた。

「これで|わかったでしょう、|警部さん。||今朝、|私が|教会と|司祭館の|まわりを|うろついているところを|あなたに|見られた|理由は|これです。||四万フランは、|もちろん|借金と|考えるべきものですが、|私は|それを|受け取りました。||第一に、|今|申し上げたように、|愛人を|遠ざけるためです。||すみません、|神父さま。||第二に、|この時期に|逮捕されるのは、|とりわけ|不愉快だったからです。||しかし、|私たちは|皆、|まるで|何かのように|立ったままですね。||どうぞ|おかけください」
扉を|開けて|上の階の|物音に|耳を|澄ませた。

「弔問の|行列が|また|始まったようです」と、|彼は|つぶやいた。
「ムーランに|電話して、|遺体安置の|祭壇を|しつらえてもらう|必要が|ありそうですね」
それから|突然|話題を|変えた。
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「これで|おわかりでしょう。||金を|受け取ったからには、|私には|神父さまに、|自分は|無実だと|誓う|必要が|残っていたのです。||それを|あなたの前で|するのは|難しかった。||警部さん、|あなたの|疑いを|さらに|強めるだけに|なったでしょうから。||それだけです。||まるで|私の|考えを|見抜いていたかのように、|あなたは|今朝、|教会の|あたりで|私を|一瞬も|一人に|してくれなかった。||神父さまは|ここへ|来られました。||なぜ|来られたのか、|まだ|私には|わかりません。||あなたが|入ってきた|とき、|神父さまは|話すのを|ためらっていましたから」
彼の目は|曇った。||押し寄せてくる|恨みを|振り払おうとして、|彼は|笑った。||苦しげな|笑いだった。

「簡単なことです。||放蕩な|暮らしをして、|不渡りの|小切手に|署名した|男。||ゴーティエは|私を|避けている。||あの男も|きっと、|そう|思い込んで|いるのでしょう」
彼は|ふいに|驚いたように|神父を|見た。

「どうなさいました、|神父さま」
実際、|神父は|陰鬱だった。||その|視線は|若い男を|避け、|同じように|メグレの|目も|避けようとしていた。
モーリス・ド・サン・フィアクルは|それを|理解し、|いっそう|刺々しく|叫んだ。

「ほら。||まだ|信じてもらえない。||しかも、|私を|救おうとしてくれている|その人こそが、|私の罪を|信じているのです」
彼は|もう一度|扉を|開けに|行き、|家の|中に|死者が|いることも|忘れて|呼んだ。

「アルベール!||アルベール!||もっと|早くしろ、|まったく!||酒を|持ってこい」

執事が|入ってきて、|戸棚へ|向かい、|ウイスキーと|グラスを|取った。||誰も|口を|きかなかった。||皆が|その|動きを|見ていた。||モーリス・ド・サン・フィアクルは|妙な|笑みを|浮かべて|言った。

「私の|ころには、|城に|ウイスキーなんて|なかった」

「ムッシュー・ジャンが」

「ああ!」
彼は|たっぷり|一杯を|飲み干し、|執事が|出ていったあとで、|扉に|鍵を|かけに行った。

「こうして|変わったものが|山ほど|ある」と、|彼は|自分に|言うように|つぶやいた。
だが|彼は|神父から|目を|離さなかった。||司祭は|ますます|落ち着きを|失い、|口ごもった。

「失礼します。||私は|教理の|授業に|行かなければ|なりません」

「少し|待ってください。||あなたは|まだ|私の|罪を|確信しておられる。||いや、|否定しないでください。||神父というものは、|嘘が|つけない。||ただ、|はっきりさせたい|点が|いくつか|あります」
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「なぜなら、|あなたは|私を|知らないからです。||あなたは|私の|ころには|サン・フィアクルに|いなかった。||ただ|私の|ことを|聞いているだけです。||物的な|証拠は|ありません。||この|悲劇に|立ち会った|警部が、|そのことを|よく|知っています」

「どうか」と、|神父は|口ごもった。

「いいえ。||お飲みに|なりませんか。||警部、|ご健康を」
そして|彼の|目は|暗かった。||彼は|自分の|考えを|荒々しく|追っていた。

「疑おうと|思えば、|疑える|人間は|いくらでも|います。||それなのに、|あなたは|私だけを|疑っている。||そして|私は、|なぜなのかと|考えているのです。||そのせいで、|昨夜は|眠れませんでした。||ありうる|理由を|すべて|考えました。||そして|結局、|わかったような|気がします。||母は|あなたに|何を|言ったのです?」
今度は|神父の|顔から|血の気が|失せた。

「私は|何も|知りません」と、|彼は|口ごもった。

「お願いします、|神父さま。||あなたが|私を|助けてくださったことは|認めます。||私に|あの|四万フランを|届けさせてくださった。||そのおかげで、|私は|息を|つく|時間を|得て、|母を|まともに|葬ることが|できます。||そのことには|心から|感謝しています。||ただ、|その一方で、|あなたは|私に|疑いを|かけている。||あなたは|私のために|祈っている。||それでは|多すぎるか、|少なすぎるかの|どちらかです」
そして|その|声には、|怒りと|脅しの|色が|混じり始めていた。

「最初は、|メグレ警部の|いないところで、|あなたと|この話を|しようと|思っていました。||けれど|今は、|この方が|ここに|いてくれて|よかったと|思っています。||考えれば|考えるほど、|何か|暗いものを|感じるのです」

「伯爵、|これ以上|私を|苦しめないでください。||お願いします」

「そして|私の|方は、|神父さま、|あなたが|真実を|言うまで、|ここから|出すつもりは|ないと|申し上げておきます!」
彼は|別人だった。||追い詰められていたのだ。||そして|弱い|人間、|穏やかな|人間が|みな|そうであるように、|度を|越した|激しさを|見せるように|なっていた。
その|怒鳴り声は、|書斎の|すぐ|上にある|遺体安置の|部屋にも|聞こえていたに|違いない。

「あなたは|母と|ずっと|関わりが|あった。||ジャン・メタイエも|あなたの|教会の|信者だったのでしょう。||その二人の|どちらかが|何かを|言ったのです。||母ですね?」
メグレは|前日に|聞いた|言葉を|思い出した。
『告白の|秘密』
彼は|神父の|苦しみ、|その|不安、|サン・フィアクルの|溢れ出る|言葉の下で|見せる|殉教者のような|視線を|理解した。
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「母が|あなたに|何を|言ったと|いうのです?||私は|母を|知っています。||母の|転落の|始まりを、|いわば|目の前で|見ていたのです。||私たちは|人生を|知らない|人間同士では|ありません」
彼は|鈍い|怒りを|こめて、|あたりを|見回した。

「かつては、|この|部屋に|入るとき、|息を|ひそめたものです。||父が、|当主が、|ここで|仕事を|していたからです。||戸棚に|ウイスキーなど|ありませんでした。||だが|書棚には、|蜜で|いっぱいの|蜂の巣のように、|本が|ぎっしり|詰まっていた」
メグレも|それを|覚えていた。
『伯爵さまは|お仕事中です』
その|言葉だけで、|小作人たちは|控えの間で|二時間も|待たされたものだった。
『伯爵さまが|私を|書斎へ|お呼びになった』
メグレの|父は|そのことで|心を|動かされていた。||それが|重要な|出来事のように|思えたからだ。

「父は|薪を|無駄には|しませんでした。||暖房を|補うために、|石油ストーブを|そばに|置き、|それだけで|済ませていたのです」と、|モーリス・ド・サン・フィアクルは|言った。
そして、|うろたえた|神父に|向かって|続けた。

「あなたは|そういう|城を|知らない。||あなたが|知っているのは、|乱れきった|城です。||夫を|失った|母。||一人息子が|パリで|馬鹿なことをして、|ここへは|金を|せびりに|来るだけだった|母。||そこへ、|秘書たちが」
彼の|瞳は|あまりにも|光っていたので、|メグレは|涙が|流れるのでは|ないかと|思った。

「母は|あなたに|何を|言ったのです。||母は|私が|来るのを|怖がって|いたのでしょうね?||また|新しい|穴埋めが|必要になる、|私を|また|救うために|何かを|売らなければならなくなる、|そう|思っていたのでしょう」

「落ち着いてください!」と、|神父は|沈んだ声で|言った。

「知るまでは|落ち着けません。||あなたが|私を|知りもしないうちから、|最初の|瞬間から|私を|疑っていたのかどうかを」
メグレが|口を|挟んだ。

「神父さまは|ミサ典書を|隠した」と、|彼は|ゆっくり|言った。
彼は|もう|理解していた。||モーリスに|助け舟を|出したのだ。||彼は|伯爵夫人を|思い浮かべていた。||罪と|罪悪感の|あいだで|引き裂かれていた|夫人を。||夫人は|罰を|恐れていたのではないか?||息子の前で、|少しは|恥じていたのではないか?
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彼女は|不安に|取りつかれた|女、|病んだ|女だった!||それなら、|いつか|告白の秘密の|中で、|こう|言わなかったと|言えるだろうか。

『息子が|怖いのです』
実際、|彼女は|怖かったに|違いなかった。||ジャン・メタイエの|手に|渡っていた|金は、|モーリスに|渡るべきはずの|サン・フィアクルの|家の金だった。||息子が|清算を|求めに|来ないと|言えるだろうか。||あるいは。
そして|メグレは、|そうした|考えが|まだ|ぼんやりと|若い男の|頭の|中に|生まれつつあるのを|感じていた。||彼は|それを|はっきりさせる|手助けをした。

「伯爵夫人が|告解の|秘密として|話したのなら、|司祭さまは|何も|言えない」

それで|はっきりした。||モーリス・ド・サン・フィアクルは|会話を|打ち切った。

「失礼しました、|神父さま。||教理の|授業を|忘れていました。||どうか|お許しを」
彼は|鍵を|回し、|扉を|開けた。

「感謝します。||できるだけ|早く、|あの|四万フランは|お返しします。||あれは|あなたの|お金では|ないのでしょうから」

「リュイナール夫人に|お願いしました。||先代の|公証人の|未亡人です」

「ありがとう。||では」
彼は|乱暴に|扉を|閉めそうになったが、|自分を|抑え、|メグレの|目を|まっすぐ|見て、|一語ずつ|叩きつけるように|言った。

「最低だ!」

「彼は、|救おうとして」

「あの人が|私を|救おうとしたのは|わかっています。||スキャンダルを|避けようとした。||サン・フィアクルの|城の|ばらばらになった|ものを、|なんとか|つないでおこうと|した。||問題は|そこじゃ|ないんです」
そして|彼は|ウイスキーを|注いだ。

「私が|考えているのは、|あの|哀れな|女のことです。||ほら、|あなたは|マリー・ヴァシリエフを|見たでしょう。||パリにいる|ほかの|女たちも|同じです。||ああいう|女たちには|良心の|苦しみなど|ありません。||でも|母は|違った。||それに、|よく見てください。||母が|あの|メタイエに|求めていたのは|何より、|自分が|愛情を|注げる|相手だったのです。||そのあとで、|母は|告解室へ|駆け込んでいた。||母は|自分を|醜い女だと|思っていたに|違いない。||そこから|私の|復讐を|恐れるところまで|いった。||はっ。||はっ」

その笑いは|恐ろしかった。

「私が|怒りに|駆られて、|母を|責め立てると|思いますか。||そんなことで。||それなのに、|あの|神父は|わかっていなかった。||あの人は|文面で|人生を|見ている。||母が|生きている|あいだは、|母を|母自身から|救おうとしたのでしょう。||母が|死ぬと、|今度は|私を|救うのが|自分の|務めだと|思った。||だが|今この|時点でも、|あの人は|私が|やったと|信じているに|決まっています」
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彼は|警部の|目を|じっと|見つめ、|はっきりと|言った。

「では、|あなたは?」
メグレが|答えなかったので、|彼は|続けた。
「なぜなら|これは|犯罪です。||最低の|下劣な|人間にしか|できない|犯罪です。||卑怯な|クズだ!||司法は|そいつに|何も|できないというのは|本当ですか?||今朝、|その話を|聞きました。||だが、|ひとつ|言っておきます、|警部さん。||この言葉は|あとで|私に|不利に|使ってくださって|構いません。||その|クズを|私が|捕まえたら、|そいつが|相手に|するのは|私です。||私|一人です!||拳銃など|いりません。||いや、|武器など|いらない。||この|両手だけで|十分です」
酒が|彼の|高ぶりを|大きくしていたのだろう。||彼自身も|それに|気づいた。||彼は|手で|額を|ぬぐい、|鏡の|中の|自分を|見て、|自分自身に|向けて|皮肉な|しかめ面を|した。

「それにしても、|神父さまが|いなければ、|私は|葬儀の|前に|勾留されていました。||私は|あの人に|あまり|感じよく|しなかった。||先代の|公証人の|奥さんが、|私の|借金を|払ってくれた。||誰でしたか?||覚えていません」

「いつも|白い|服を|着ている|夫人だ。||マティニョンへ|行く|道に、|金色の|矢じりのついた|柵の|家がある」
モーリス・ド・サン・フィアクルは|落ち着きを|取り戻しつつあった。||彼の|熱は|藁火のように|一瞬で|燃えただけだった。||彼は|酒を|注ごうとし、|ためらい、|嫌そうな|顔をして|グラスの|中身を|一息に|飲み干した。

「聞こえますか?」

「何がだ?」

「上で|土地の|人たちが|弔問に|並んでいる|音です。||本当なら|私は|喪服を|着て、|目を|赤くし、|打ちひしがれた|顔で|握手しているべきなんです。||外へ|出れば、|あの人たちは|噂話を|始める」
そして|疑わしげに|言った。

「しかし、|そもそも、|あなたの|言うように|司法が|この件を|扱っていないのなら、|なぜ|あなたは|この土地に|残っているのです?」

「新しいことが|出てくるかも|しれない」

「もし|私が|犯人を|見つけたら、|あなたは|私を|止めるのですか」
こわばった|指の|ほうが、|言葉よりも|雄弁だった。

「俺は|失礼する」と、|メグレは|きっぱり|言った。
「第二の|陣営を|見張りに|行かなきゃならん」

「第二の|陣営?」
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「宿屋の|陣営だ。||ジャン・メタイエと、|今朝|着いた|その|弁護士だ」

「弁護士を|頼んだのですか?」

「用心深い|青年だ。||今朝の|人物配置は|こうだった。||城には、|あんたと|司祭。||宿屋には、|あの|若い男と|その|相談役」

「あの男に|できたと|お思いですか?」

「一杯|もらっても|かまわんか?」
そして|メグレは|酒を|一杯|飲み、|唇を|ぬぐい、|出ていく|前に|最後の|パイプへ|煙草を|詰めた。

「もちろん、|あんたは|ライノタイプを|扱えないな?」
肩を|すくめる|身ぶり。

「私は|何ひとつ|扱えません。||困ったことに!」

「どんなことが|あっても、|俺に|知らせずに|村を|出るな。||いいな?」

重く、|深い|視線。||そして|重く、|深い|声。

「お約束|します」
メグレは|外へ出た。||玄関の|石段を|降りようとしたとき、|どこから|現れたのか|わからないうちに、|一人の|男が|彼の|そばに|いた。


「失礼します、|警部さん。||少しだけ|お話の|時間を|いただきたいのですが。||聞いたところでは」

「何をだ?」

「あなたは|ほとんど|この|家の|人間のようなものだとか。||お父上も|同じ|仕事を|なさっていた。||どうか|私の|家で|一杯|お飲みいただけませんか」
そして|灰色の|顎髭を|生やした|管理人は、|中庭を|抜けて|メグレを|連れていった。||彼の|家では|すべて|用意されていた。||由緒ある|年数を|示す|ラベルの|貼られた|マールの|瓶。||乾いた|菓子。||台所からは|ベーコン入り|キャベツの|匂いが|漂ってきた。

「聞いたところでは、|あなたは|今とは|まるで|違う|状態の|城を|ご存じだそうで。||私が|来たころには、|もう|乱れが|始まっていました。||パリから|来た|若い男が|いまして。||これは|先代の|伯爵の|ころからの|マールです。||砂糖は|なしで|よろしいですね?」
メグレは、|口に|銅の|輪を|くわえた|彫刻の|獅子が|ついた|テーブルを|見つめていた。||そして|またしても、|肉体と|心の|疲れを|感じた。||昔は、|磨き上げられた|床を|傷つけないために、|彼は|この部屋へ|スリッパでしか|入ることを|許されなかったのだ。

「私は|たいへん|困っております。||それで|あなたに|相談したいのです。||私どもは|貧しい|人間です。||管理人という|仕事が、|人を|金持ちに|するものでは|ないことは、|あなたも|ご存じでしょう」
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「土曜日に|金庫に|金が|なかった|ことが|何度か|ありまして、|そのときは|私が|農場の|働き手たちに|給金を|払いました。
また|別のときには、|小作人たちが|求めた|家畜の|買い入れに、|私が|金を|立て替えました」

「つまり、|ひと言で言えば、|伯爵夫人は|あんたに|金を|借りていたわけだ」

「伯爵夫人は|金の|扱いが|まるで|おわかりに|なりませんでした。||金は|四方八方へ|流れていく。||本当に|必要な|ことに|なると、|その金だけが|ないのです」

「それで|あんたが」

「あなたの|お父上でも|私と|同じことを|なさったでしょう?||土地の|人間に、|金庫が|空だと|見せては|ならない|時が|あるのです。||私は|自分の|蓄えから|出しました」

「いくらだ?」

「もう|一杯|いかがですか?||きちんと|計算したわけでは|ありません。||少なくとも|七万フラン。||それに|今度の|葬儀も、|また|私が」
一つの|光景が|メグレの|脳裏に|押し寄せた。||厩舎の|そばに|あった|父の|小さな|事務室。||土曜日の|五時。||城で|働く|すべての者たちが、|洗濯女から|日雇いの|者まで、|外で|待っていた。||そして|老いた|メグレは、|緑の|更紗で|覆われた|机に|つき、|銀貨を|小さな|山に|分けていた。||一人ずつ|順に|入ってきて、|帳簿に|署名するか、|十字を|書いた。


「今となっては、|どうやって|取り戻せば|いいのかと|思っております。||私どものような|者に|とっては」

「ああ、|わかる。||暖炉を|替えたんだな」

「つまり、|以前は|木製でしたので。||大理石のほうが|見栄えがします」

「ずっとな」と、|メグレは|呟いた。

「おわかりでしょう。||債権者たちが|みな|押し寄せてきます。||売るしか|ありません。||しかも|抵当が|ありますから」
メグレの|座っている|肘掛け椅子は、|暖炉と|同じく|新しいものだった。||バルベス大通り1の|店から|来たものに|違いなかった。||食器棚の|上には|蓄音機が|あった。


「息子が|いなければ、|それでも|よいのですが、|エミールには|将来が|あります。||私は|事を|急ぎたくないのです」
一人の|少女が|廊下を|横切った。

「あんたには|娘も|いるのか?」

「いいえ。||土地の|娘です。||力仕事を|しに|来ているのです」

「では、|その話は|またに|しよう、|ムッシュー・ゴーティエ。||すまんが、|まだ|やることが|たくさん|ある」
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「最後に|もう|一杯だけ|いかがですか?」

「ありがとう。||七万五千フランほどと|言ったな。||そうだったな?」
そして|彼は|両手を|ポケットに|入れ、|立ち去った。||ガチョウの|群れを|横切り、|もう|波立っていない|ノートル=ダム池に|沿って|歩いた。||教会の|時計が|正午を|告げていた。

マリー・タタンの|宿屋では、|ジャン・メタイエと|弁護士が|食事を|していた。||前菜は|イワシ、|ニシンの|切り身、|それに|ソーセージ。||隣の|テーブルには、|食前酒の|入っていた|グラスが|残っていた。
二人の|男は|上機嫌だった。||彼らは|皮肉な|目つきで|メグレを|迎えた。||互いに|目配せを|していた。||弁護士先生の|書類かばんは|閉じられていた。

「少なくとも、|鶏料理用の|トリュフは|見つかったのでしょうね?」と、|その|弁護士が|尋ねた。
気の毒な|マリー・タタン。||彼女は|食料品店で、|ごく|小さな|缶を|一つ|見つけていた。||しかし|それを|開けることが|できなかった。||それを|打ち明ける|勇気も|なかった。

「見つけました、|ムッシュー」

「では、|急いでください。||この土地の|空気は|実に|腹が|減りますからな」
台所へ|行ったのは|メグレだった。||彼は|ナイフで|缶の|ブリキを|切り開いた。||そのあいだ、|斜視の|女は|低い|声で|口ごもっていた。


「お恥ずかしい|ことで、|私は」

「黙ってろ、|マリー」と、|彼は|呟いた。
一つの|陣営。||二つの|陣営。||三つの|陣営か?
彼は|現実から|逃れるために、|冗談を|言いたくなった。

「そうだ。||神父から|三百日分の|免償を|持っていくように|頼まれたぞ。||おまえの|罪を|埋め合わせるためだ」2
マリー・タタンは|その|冗談が|わからず、|この|大きな|連れを、|怖がりながらも、|敬意を|こめた|愛情を|まじえて|見つめていた。

- バルベス大通り(Boulevard Barbès)は|パリの|18区に|ある|大通りで、|1930年代から|現在に|至るまで|庶民的な|商店街として|知られて|います。
特徴: 安い|家具屋、|雑貨店、|大衆的な|商店が|並ぶ|庶民の|街で、|高級品では|なく|安価な|量産品を|売る|店が|多い|地域です。
この|場面での|意味:
メグレが|ゴーティエの|新しい|肘掛け椅子を|見て|「バルベス大通りの|家具店から|来た|ものに|違いない」と|思った|のは:
・高級品では|ない
・しかし|新品で|わざわざ|買った
・貧しいと|言いながら|新しい|家具を|買う|余裕が|ある
という|皮肉な|観察です。||安物だが|新品というのが|ゴーティエの|矛盾した|経済状況を|象徴して|います。
↩︎ - これは、メグレのからかい半分の冗談です。
indulgences はカトリックの用語で、ここでは「免償」です。罪そのものを消すというより、罪に伴う償い・罰を軽くする宗教上の恩典のようなものです。昔は「何日分の免償」という言い方がありました。
つまりメグレはマリーに、神父がおまえの罪を埋め合わせるために、三百日分の免償を届けてくれって言ってたぞと冗談を言っているわけです。
なぜ冗談になるかというと、直前でマリーはトリュフの缶を開けられず、情けなさそうにしているだけです。大きな罪を犯したわけではありません。それなのにメグレは、まるで彼女が大罪人であるかのように「三百日分の免償が必要だ」と大げさに言って、場を少し軽くしようとしているのです。
また、この場面では城館も宿屋も事件で重苦しくなっています。メグレ自身も疲れきっています。だから、
宗教的な重い言葉を、日常の失敗にわざと持ち込んで笑いにするという冗談です。
ただ、マリーは素朴で信心深いので、その冗談を理解できません。だから、怖さと敬意と親しみが混じった目でメグレを見ている、という描写になっています。
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