メグレの部下にはなりたくない・・・
メグレシリーズ、75作品のうち、翻訳したのは初期の15作品くらいですが、よく思うのが、「メグレは部下に無茶をさせる」ということだ。
理想の上司アンケートがあったら、おそらく最下位になる上司だと思う。
最初は、やはり、リュカ主任刑事です。
リュカはメグレの部下の刑事の中でも『主任刑事(巡査部長とも)』で、部下の刑事の中でもリーダー格です。だから、他の刑事に指示・令だってできる立場。
しかし、メグレが一番信頼をおいている部下で、張り込みなど自分(警部クラス)の仕事ではない(本当はやりたくないだけ)と思った捜査では、リュカが空いていれば、必ずと言っていいほど彼が呼び出される。
そして、メグレは必ずこういう、「後で、誰か代わりをやるから!」
→ 自分は、事件の捜査で頭一杯なのに信用できるか!!!
今回は、そのリュカの災難エピソード。—— 霧の港 第七章より
「塀に登ってのぞけ!」
グランメゾン村長の書斎が怪しいと見て、メグレがどうしても中の様子が知りたいという場面です。リュカは毎度のことで無茶を言われるのは諦め加減です(泣。

「あの|カーテンの|すき間が|見えるか?」と、|彼は|書斎の窓を|指しながら|言った。
「それから、|ちょうど|正面の|あの|低い塀が|見えるな!||いいか!||あそこに|立てば、|すき間から|中を|のぞき込めると|思う」
リュカは|メグレと|ほとんど|同じくらい太っていたが、|背は|低かった。||彼は|ため息を|つきながら|塀に|よじ登り、|通行人が|来ないことを|確かめるために、|道の両側を|見回した。

自分の方が背が高いんだから、自分で登れよ、と言いたいところだが、そこは警察官の上下関係・・・厳しいな!
届かなければ、この石の上に!

「何か|見えるか」

「高さが|足りません。||十五センチか|二十センチほど|足りません」
メグレは|何も|言わず、|道端に|あった|石の山の方へ|歩いていき、|いくつか|石を|持ってきた。

「試してみろ」

「テーブルの端は|見えます。||でも|まだ|人は|見えません」
そして|警部は|さらに|石を|取りに行った。

「これで|わかりました!||二人は|チェッカーを|しています。||女中が|湯気の立つ|グラスを|運んでいます。||たぶん|グロッグでしょう」

「そこに|いろ!」
サラッと書いてあるが、リュカがが塀の上に乗って書斎の窓のカーテンの隙間を覗こうとしているのですが、身長が足りずに中が見えない。そこでメグレが道端に積んであった石を何個か拾ってきて、リュカが立つ塀の上に積み足して高さを稼ごうとします。それでも「テーブルの端は見えるが人はまだ見えない」ということで、メグレはさらに石を取りに行く・・・・鬼ですな!

画像を生成してみたけど、どうみても、危ないだろう!
そして、ようやく中が見えるようになったら、メグレの命令は「そこにいろ!」
つまり、降りてこいというまで、その状態で見張りを続けろいうことです。実際にシムノンはわざわざ「苦しい体勢で・・・」と書いてます。そして、リュカはその大勢で見張りを続け、書斎の中の状況をメグレに報告を続けるのです・・・。
だけど、メグレは部下からその事件捜査の手腕を信頼されているから、無茶な仕事を命令されてもそれに従ってついていくのでしょう(見た目が怖いだけかもしれませんが・・・)。

