J.J.Franky

点訳研究

点訳研究|4字漢字——必ず区切る必要あるか?

彼は予審判事である。これまで、何の疑問も持たずに当然のごとく彼は|予審|判事である。4字漢字は、真ん中で区切っていた。もちろん意味のまとまりとしても真ん中で区切っておかしくない。しかし、前々から少し違和感があった。意味のまとまりで区切るとす...
作品背景

作品背景|メグレはワインではなくビールを飲む

フランス的「庶民の一杯」カフェのビール、食卓のワインジョルジュ・シムノンの〈メグレ警部シリーズ〉には、印象的な飲み物の描写がいくつも登場する。その多くがワインではなく、「冷えたビール」であることに気づく読者は少なくないだろう。フランスといえ...
作品背景

🇫🇷作品背景|第1次世界大戦とモンマルトルの変容

戦前のモンマルトル ― 芸術家の丘19世紀末から20世紀初頭にかけて、モンマルトルは「芸術家の村」として知られていた。格安の家賃やアトリエ独特の村落的雰囲気ボヘミアン文化と自由な空気これらが画家・詩人・音楽家を引き寄せ、ピカソ、モディリアー...
点訳研究

点訳研究|接続詞として使われる接続助詞

点訳において、接続助詞は原則として前に続けて書くのが基本です。しかし、一部の接続助詞は、接続詞(けど・だから・なのに・でも 等)と同じ意味で働くことがあります。この場合、接続助詞の直前で区切ることを許容できないのか検討します。1. 逆接を表...
点訳研究

点訳研究:「の」の準体助詞と形式名詞の違いとラボ流の取り扱い

国語文法における「の」の二つの用法ハイブリッドラボを進めていると『〜のである』『〜のだろう』という文章で表現したいのですが、多くが8拍以上となってしまい、なかなか使いづらく、泣く泣く言い換えて対処することが多です。、ただ、リズム上「の」の前...
作品背景

🇬🇧作品背景|なぜ日本では「アパート」なのか

「アパート」と「フラット」イギリスでのflatクリスティの時代、ロンドンのflatは「集合住宅の一室」を意味しました。19世紀末のタウンハウスを分割して貸し出す形や、新しい集合住宅の一部屋を指すのが一般的でした。つまり「フラット」はごく日常...
エルキュール・ポワロ

The Adventure of the Cheap Flat

注記(区切り記号について)この翻訳文には、点字に対応させるための区切り記号(マス空け)を入れています。「|」… 1マスあけ「||」… 2マスあけ点訳の際に必要となる区切りを、見える形で示しています。読み進めるうちに、文章のリズムや切れ目を意...
作品背景

作品背景|イギリスとアメリカ警察階級の違い

ジャップ主任警部とヒース巡査部長推理小説を読むとよく登場するのが「警部(Inspector)」や「Sergeant(巡査部長)」です。しかしイギリスとアメリカでは、この呼び方が必ずしも同じ階級を意味するわけではありません。アガサ・クリスティ...
点訳研究

点訳研究|「痛そうだ」「イルカのように」

座っていたそうだ『ベンスン殺人事件』を翻訳・点訳していると、こんな文章が出てきました。服を着たまま、リビングのお気に入りの椅子に、座っていたそうだ」点訳する場合、「座っていたそうだ」を、どう処理するか問題となります。『点訳の手引き』準拠『点...
翻訳研究

翻訳研究|美貌と知性、そして・・・ホームズの記憶に残ったアイリーン・アドラー

アイリーン・アドラーは悪女か?アイリーン・アドラーは、しばしば「ホームズを出し抜いた唯一の女性」として語られてきました。映像化や二次創作では「ホームズが恋した女性」「妖婦のような悪女」というイメージが広まり、今日に至るまで根強く残っています...
翻訳と点訳の実験場

言葉と文法|形式名詞と属性——「そのこと」「その父」「その子」を比べる

はじめに前回の記事では、形式名詞「こと・もの」をプログラミングのクラス/インスタンス/オブジェクト/メソッドに例えることで理解を深めました。続編では「そのこと」「その父」「その子」を取り上げ、形式名詞/関係名詞/普通名詞の違いをプログラミン...
翻訳と点訳の実験場

言葉と文法|形式名詞を「クラス」として理解する

形式名詞日本語の「形式名詞(こと・もの・ところ・わけ…)」は、意味が希薄で学習者にはつかみにくい存在です。これをプログラミングの基本概念──「クラス」「インスタンス」「オブジェクト」「メソッド」に例えると、理解がすっきりします。プログラミン...
翻訳と点訳の実験場

言葉と文法|「Xバー理論」について

Xバー理論(X-bar theory) は、チョムスキーの理論体系「生成文法」の中で、1970年代に発展した 統語構造の普遍的な型を説明する理論 です。この理論によって、異なる言語を「同じ構造の変形(word order)」として説明できる...
翻訳と点訳の実験場

言葉と文法|生成文法

文の構造については、学校で習った「学校文法」よりも、現代言語学の「生成文法」の仕組みでシステム的に覚えるとわかりやすくなリます(特に理系)。「形容動詞」に違和感があって、「イ形容詞」「ナ形容詞」で覚える方がわかりやすのと同じでしょう。実際の...
翻訳と点訳の実験場

言葉と文法|文の構造——言語学的整理

言語学的な「単文」・「重文」・「複文」についてのまとめ学校文法と現代言語学学校文法では、「述語の数」を基準に「単文・重文・複文」に分けます。現代言語学(統語論・生成文法など)では、「節(clause)」を基本単位として、節の階層関係や構造で...
翻訳と点訳の実験場

言語と文法|文の構造——「句」と「節」

「句」と「節」「句」と「節」の違いは、述語を含むかどうかである節(せつ)定義述語(動詞・形容詞・助動詞など)を含む文の単位。例「雨が降る」「彼が来たら」「本を読むとき」特徴:文の中で「主語+述語」という構造を持つ。独立して一つの文になること...
翻訳研究

翻訳研究|ワトスンの「Not in a good cause.」(番外編)

ホームズが発した「the couse !」コナン・ドイル『ボヘミアの醜聞』の中で、ワトスンがホームズに向かって放つ一言 “Not in a good cause.” は、単なる忠実な相棒のセリフとして読むこともできます。それに対して、ホーム...
翻訳研究

翻訳研究|ワトスンの「Not in a good cause.」

「Not in a good cause.」=「大義のためなら」『ボヘミアの醜聞』の中で、ホームズが「法を犯すことにためらいはないのか?」と問いかける場面があります。これに対してワトスンは即座にこう答えます。“Not in a good c...
作品背景

🇬🇧作品背景|イギリスの結婚許可証(Marriage Licence)

結婚式に巻き込まれた馬丁「ホームズ」シャロック・ホームズの「ボヘミアの醜聞」に、馬丁に変装したホームズがワトスンの前で、思い出して笑ってしまう場面があります。It seems that there had been some informa...
翻訳研究

翻訳研究|「St.」で迷子になった話

St.=Street?Station?・・・でしょ!St. John’s Wood=ジョンズ・ウッド・ストリート!?最初に私はこう信じてました。St.=Street。だから「St.John’s Wood」を「ジョンズ・ウッド・ストリート」だ...
作品背景

🇬🇧作品背景|ロンドンの法曹学院——インナー・テンプル

インナーテンプル『ボヘミアの醜聞』に登場するゴドフリー・ノートンは、「インナー・テンプル所属の法廷弁護士」として紹介される。一見、地名か学校名のように聞こえるが、インナー・テンプル(Inner Temple)は実在する組織であり、ロンドンの...
作品背景

🇬🇧作品背景|ホームズの時代とビール文化

a glass of half-and-half『ボヘミアの醜聞』の一場面で、ホームズは馬丁にまじって働き、報酬として「a glass of half-and-half(ハーフ・アンド・ハーフ)」を飲む。一見すると些細な飲み物の描写にすぎな...
作品背景

🇺🇸作品背景|英国の警部とは違う? ヴァンスの相棒マーカム地方検事

英国探偵小説の「警部」たちシャーロック=ホームズにはレストレード警部、エルキュール=ポワロにはジャップ警部が登場します。彼らはいずれもスコットランドヤードの実務警察官で、捜査権限を持つものの、探偵に先を越される「引き立て役」として描かれるこ...
作品背景

🇺🇸作品背景|タマニー・ホールと改革派 ― ベンスン殺人事件

地方検事マーカムの背後にあるニューヨーク政治S.S.ヴァン・ダインの処女作『ベンスン殺人事件』は、地方検事マーカムの登場から始まります。彼は「独立・改革派(Independent Reform Ticket)」の候補として選ばれ、ニューヨー...
ベンスン殺人事件

第二章 事件現場

注記(区切り記号について)この翻訳文には、点字に対応させるための区切り記号(マス空け)を入れています。「|」… 1マスあけ「||」… 2マスあけ点訳の際に必要となる区切りを、見える形で示しています。読み進めるうちに、文章のリズムや切れ目を意...
点訳研究

点訳研究|「連語」

「連語」とは二つ以上の単語が連結して、一つの単語と似たような働きをもつもの。二つ以上の単語が結合して一つの単語と同じ働きをもつようになった複合語とは区別される。ラボ流での取り扱い8拍以上でも、「連語」として「3大小型辞書」の一つに掲載されて...
翻訳研究

翻訳研究|ホームズの大物依頼人への態度

ホームズの態度とその口調シャーロック=ホームズは、どんな相手にも一歩も引かない探偵です。『ボヘミアの醜聞』では、貴族を名乗る依頼人を前にしても臆することなく、冷徹な態度を崩しません。この姿勢を日本語にどう表すかは、ホームズ像を大きく左右する...
作品背景

🇬🇧作品背景|ホームズはボヘミアン!?ボヘミアとは

ボヘミアンとボヘミアシャーロック=ホームズの物語には「ボヘミア」という言葉が二度登場します。ひとつは『ボヘミアの醜聞』に登場する「ボヘミア王」。もうひとつは、ホームズ自身の性格を形容して使われる「Bohemian soul(ボヘミアン気質)...
作品背景

🇬🇧作品背景|イギリスの女性は結婚すると姓を変えるのか?

ミセス=イングルソープと姓の慣習『スタイルズ荘の怪事件』で、エミリー・キャヴンディッシュが再婚して「ミセス=イングルソープ」と呼ばれる場面があります。日本語の読者には違和感がありませんが、そこにはイギリス社会の結婚と姓の慣習が反映されていま...
作品背景

🇬🇧作品背景|ホームズからポワロへ —— 第1次大戦とグローバル化

ホームズからポワロへ —— 第1次大戦とグローバル化アガサ・クリスティーが創り出したポワロとヘイスティングスのコンビには、コナン・ドイルのホームズ譚への明確なオマージュが見られる。そして同時に、第一次世界大戦後という時代背景が、その探偵像を...