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第七章 モエルスの耳

気温は|相変わらず|うだるような|暑さだった。||毎朝|新聞は|フランス各地で|猛威を|振るう|嵐の|被害を|伝えていたが、|サンセールと|その|周辺では|三週間以上も|一滴の|雨も|降っていなかった。
午後になると、|エミール・ガレが|かつて|使っていた|部屋は|直射日光を|まともに|受けて|とても|居られなくなった。
それでも|モエルスは|その|土曜日、|開け放した|窓の前に|日除けの|ブラインドを|下ろして|済ませ、|昼食が|終わって|三十分も|しないうちに|ガラス板と|黒焦げの|紙片の|上に|かがみ込み、|メトロノームのような|規則正しさで|作業を|続けていた。
メグレは|しばらくの|あいだ|彼の|まわりを|うろうろし、|あれこれ|触っては|足を|引きずるように|歩き回っていた。||どこか|決めかねている|男の|ようだった。||やがて|ため息を|ついた。

「聞いてくれ、|もう|限界だ。||君には|感心するが、|君は|百キロも|ないだろう。||ちょっと|涼しいところに|行かせてもらう。」
この|暑さの中、|どこへ|逃げればいいか。||テラスには|少しは|風が|あるが、|宿泊客と|その|子どもたちも|いる。
カフェでは|三十分と|経たないうちに|必ず|玉突き台の|球が|ぶつかる|耳障りな|音が|聞こえてくる。
メグレは|中庭に|出た。||半分は|日陰になっていた。||通りかかった|若い|給仕を|呼び止めた。


「ハンモック椅子を|持ってきてくれ。」

「ここに|お座りに|なるんですか?||厨房の|物音が|うるさいですよ。」
人の|話し声よりは|よほど|ましだった。||おまけに|鶏の|けたたましい|鳴き声も|あるが、|それも|構わなかった。||メグレは|椅子を|井戸の|そばまで|引きずっていき、|蠅よけに|顔の|上に|新聞を|広げた。||そして|ほどなく、|うっとりするような|まどろみに|包まれた。

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やがて|洗い場で|食器を|洗う|騒音が|だんだん|現実感を|失い、|メグレは|うとうとしながら、|あの|死者が|まとわりついてくる|呪縛から|逃れた。
いつごろだったか、|二発の|銃声のような|音が|聞こえた。||だが|それは|彼を|完全に|まどろみから|引き戻すには|至らなかった。||すぐさま|夢が|膨らみ、|唐突な|その音に|説明を|つけてくれたからだ。
……彼は|ホテルの|テラスに|座っていた。||ティビュルス・ド・サン=テレールが|ビン|色の|上着を|着て、|長い|耳を|した|犬を|十数匹|引き連れて|通りかかった。

「先日|この|あたりに|猟の|獲物が|いるか|お訊きでしたね?」と|彼は|言った。
……サン=テレールが|銃を|構えて|でたらめに|撃つと、|枯れ葉のような|格好で|飛んでいる|ヤマウズラの|群れが|どっと|舞い落ちた。

「警部さん!|早く!」

メグレは|飛び起きた。||目の前に|給仕の女が|立っていた。

「部屋で|銃声が。」
警部は|自分の|身体の|重さが|情けなかった。||すでに|人々が|ホテルの中を|走り回っており、|メグレは|とても|最初に|ガレの|部屋に|着けなかった。||部屋では|モエルスが|テーブルの|そばに|立ち、|両手で|顔を|覆っていた。


「全員、|出ろ!」と|メグレは|命じた。

「医者を|呼びますか?」と|タルディヴォンが|訊いた。
「血が|出ています。||見てください!」

「ああ、|行け!」
ドアを|閉めると、|メグレは|まっすぐ|鑑識の|若者に|歩み寄った。||悔やまれた。

「どうした、|若いの?」
血は|見れば|わかった。||至る所に|血が|あった。||モエルスの|手にも、|肩にも、|ガラス板にも、|床にも。
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日除けは|下ろしたままで、|陽光を|和らげ、|室内に|橙色の|色調を|与えていた。

「たいしたことは|ありません。||耳です。||見てください」
モエルスは|左耳の|耳たぶを|一瞬|離した。||すると|たちまち|血が|噴き出した。||モエルスは|顔面蒼白だった。||それでも|笑おうと|し、|何より|あごの|けいれんを|止めようと|必死だった。

「危険では|ないですよね?||耳ほど|血の|出るところは|ありませんから」

「落ち着け。||息を|整えろ。」

フラマン人は|歯が|がちがちと|鳴って、|ほとんど|口も|きけなかった。

「こんな|状態に|なるべきじゃ|なかったんですが。||でも、|慣れていないものですから。||新しい|ガラス板を|取りに|立ち上がった|ところでした。||聞いてください。||ちょうど|この場所に|いたんです。||銃声がしました。||誓って|言いますが、|弾丸が|通過した|ときの|空気の|動きを|感じました。||ピンスネーが|吹き飛んだかと|思うほど|目の|すぐそばを|かすめたんです。||後ろに|飛びのきました。||そして|一発目と|ほぼ|同時に、|二発目が。||死んだと|思いました。||頭の中が|ごうごうと|鳴って、|まるで|脳みそが|沸騰|しているかのようでした」
モエルスは|少し|楽そうに|微笑んだ。

「ほら、|たいしたことじゃ|ないでしょう。||耳の端が|少し|削れた|だけです。||窓に|駆け寄れば|よかったんですが。||動けなかったんです。||また|弾が|来るような|気がして。||銃弾|というものが|どんなものか、|これまで|知らなかったんです」
彼は|腰を|下ろせざるを得なかった。||後から|じわじわと、|ある種の|反動で|遡及的な|恐怖が|押し寄せ、|足が|がくがくと|震えていた。

「私の|ことは|構わないで|ください。||犯人を|追ってください」

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部屋の|窓に|向かい合う|白い壁の|上に、メグレ警部は|異常なものを|何も|見つけなかった。||足跡については、この|乾き切った|草むらの|中を|探しても|無駄だった。||草は|足跡を|残さない。||むき出しの|地面も|あまりに|石だらけだったのだ。
警部は|波止場の|方へ|歩いていった。||二十人ほどが|固まって|立ち、|前へ|進むのを|ためらっていた。

「発砲が|あったとき、|テラスに|いたのは?」
いくつかの|声が「自分だ!」と|答えた。||喜んだ|顔で|列を|離れる|者もいた。

「この小道に|誰か|入るのを|見たか?」

「誰も! ||少なくとも|一時間は。||オレは|動いていないから!」と、|カラフルな|セーターを|着た|痩せた|小男が|言った。

「シャルロ、|お母さんの|そばに|いなさい。||オレは|ここに|いましたよ、|警部さん。||もし|犯人が|この道を|通っていたなら、|必ず|目に入ったはずだ」

「発砲音は|聞こえたか?」

「皆んな|同じだろうよ。||隣の|敷地で|狩りを|しているのかと|思った。||それでも|少し|歩いてはみたが」

「道には|誰も|いなかったか?」

「誰も」

「木の幹の|陰まで|確かめたわけじゃ|ないだろう」
メグレは|素早く|自分で|確かめた。||念のためだった。||それから|小さな|館の|正門へ|向かった。||庭師が|砂利を|積んだ|手押し車を|小道で|押していた。||


「主人は|いるか?」

「公証人の|ところだと|思います。||いつも|この時間は|カード遊びをする|仲間ですから」

「出かけるのを|見たか?」

「あなたを|見るように、|はっきりと!||一時間半は|前のことです」

「敷地内で|誰かに|会ったか?」

「誰にも。|なぜですか?」

「十分前、|あんたは|どこにいた?」

「水辺で|砂利を|積んでいました」
メグレは|男の|目を|まっすぐに|見た。||男は|正直そうに|見えた。||おまけに|うまく|嘘をつくには|あまりに|間抜けそうだった。
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庭師を|気にすることなく、|警部は|囲い壁に|立てかけられた|樽のところまで|歩いていった。||しかし、|犯人が|通った|痕跡は|何も|見つからなかった。
錆びた|鉄格子も|調べたが、|収穫は|なかった。||朝、|自分が|押し戻して|以来、|開けられた|様子は|まったく|なかった。

「それでも|二発|撃たれたんだ!」
ホテルでは、|人々が|ようやく|腰を|落ち着けていたが、|会話は|あちこちで|続いていた。

「大丈夫ですよ!」と|タルディヴォンが|警部を|出迎えながら|言った。
「たった今|分かったんですが、|医者は|<プティ>公証人の|ところに|います。||呼びに|行かせましょうか?」

「公証人の|家は|どこだ?」

「広場に、|コメルス=カフェの|隣です」

「あの|自転車は|誰のだ?」

「さあ。||乗っていって|いいですよ。||ご自分で|行かれますか?」

メグレは|自分には|小さすぎる|自転車に|またがり、|サドルの|バネを|ぎしぎしと|きしませた。||五分後、|彼は|青い|チェック柄の|エプロンを|つけた|老女中が|覗き穴から|のぞいている、|広くて|清潔で|涼しい|家の|呼び鈴を|鳴らしていた。

「医者は|いるか?」

「どちら様の|ご用件で?」
しかし、|半開きの|窓が|大きく|開いた。||手に|カードを|持った|陽気な|人物が|身を乗り出した。

「森林警備の|奥さん?||すぐ|行きます」

「いや、|怪我人だ、|先生!||すぐに|ロワール・ホテルへ|来てくれるか?」

「また|事件じゃ|ないでしょうね?」

水晶の|グラスが|輝く|テーブルを|囲んでいた|三人が|立ち上がった。||メグレは|サン=ティレールが|いるのが|わかった。

「事件だ!||早く!」

「死んで|いますか?」

「いや!||包帯の|材料を|持って|来てくれ」
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メグレは|サン=ティレールから|目を|離さなかった。||彼は、|小さな|館の|主人が|ひどく|動揺しているのを|見てとった。

「一つ|聞かせてください、|皆さん」

「少々|お待ちを!」と|公証人が|割って|入った。
「なぜ|お通し|しないのですか?」

話を|聞いた|女中が|ようやく|扉を|開けた。||警部は|廊下を|抜け、|葉巻と|古い|酒の|いい|匂いが|漂う|応接間へ|入った。


「いったい|何が|あったのですか?」と|公証人が|尋ねた。||家の|主人は|身なりの|整った|老人で、|絹のような|白髪と、|赤ん坊のような|きめ細かな|肌を|していた。||
メグレは|聞こえないふりを|した。

「皆さん、|どのくらい|前から|カードを|していましたか?」
公証人が|柱時計に|目を|やった。

「ちょうど|一時間ほどです」

「その間、|この部屋を|誰か|出ましたか?」
四人は|驚いて|顔を|見合わせた。

「いいえ!|四人しか|いませんから。ブリッジには|ちょうどいい|人数です」

「確かですか?」
サン=ティレールは|真っ赤に|なっていた。

「被害者は|誰ですか?」と|彼は|枯れた|声で|聞いた。

「司法鑑識局の|職員です。エミール・ガレの|部屋で|作業して|いました。ちょうど|ジャコブ|という|人物に|関する|仕事をしていた|ところです」

「ジャコブ……」と|公証人が|繰り返した。

「そういう|名前の方を|ご存知ですか?」

「いや、存じません!|ユダヤ人じゃないですかな」

「サン=ティレールさん、|お願いが|あります。鉄格子の|鍵を|なんとか|見つけて|いただけますか?||必要であれば、|邸を|捜索するための|刑事を|お貸しします」
ブランデーを|一気にあおる|館の|主人の|仕草を、|メグレは|見逃さなかった。


「お邪魔しました、皆さん」

「一杯|どうですか、|警部さん?」
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「またの|機会に。||どうも」

彼は|再び|自転車に|またがり、|左に|曲がった。||やがて、|「ペンション=ジェルマン」と|かろうじて|読める|看板を|掲げた、|かなり|荒れ果てた|家の前に|着いた。
貧しく、|清潔さも|怪しかった。||垢だらけの|子供が|戸口で|うろついており、|犬が|道端から|拾った|骨を|かじっていた。

「ブールサンは|いますか?」
別の|赤ん坊を|腕に|抱えた|女が|奥から|やって|きた。

「毎日|午後のように|出かけています。||でも、|きっと|丘の上の|古い|城の|そばに|いると|思いますよ。||本を|持って|いきましたから。||あそこが|お気に入りの|場所なんです」

「この道で|行けるか?」

「最後の|家を|過ぎたら|右に|曲がってください」

坂の|中ほどで、|メグレは|自転車を|降り、|押して|歩かなければ|ならなかった。||思うより|焦りを|感じていた。||それは|おそらく、|またしても|見当外れを|しているような|気が|していたからだった。

「サン=ティレールが|撃ったのでは|ないことは|確かだ!|それでも……」

彼が|たどる|道は、|公園のような|場所を|抜けていた。||左手の|斜面に、|小さな|女の子が|杭に|つながれた|三頭の|山羊の|そばに|座っていた。
道が|急に|曲がり、|ちょうど|百メートル|先の|高みに、|エレオノールが|ベンチに|座って|本を|手に|しているのが|見えた。
メグレは|十二歳ほどの|少女に|声を|かけた。


「あそこに|座っている|女の人を|知っているかい?」

「はい!」

「あの|ベンチで|よく|本を|読んでいるの?」

「はい!」

「毎日?」

「そうだと|思います!||でも、|学校に|行っている|ときは|見えないけど」

「今日は|何時に|来たの?」

「ずいぶん|前です!|ご飯を|食べてから|すぐ|出てきました」

「家は|どこ?」
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「あそこに|見える|家です」
半キロほど|先に、|半分が|農家の|造りの|低い|家が|あった。

「あの|女の人は|もう|あそこに|いた?」

「いいえ!」

「通りかかったのは|いつ?」

「わかりません、|でも、|二時間は|経ってます……」

「それから|ずっと|動いていない?」

「はい」

「道を|散歩したりしてなかった?」

「していません」

「自転車は?」

「ありません!」
メグレは|ポケットから|二フラン硬貨を|取り出し、|少女の|手に|握らせた。||少女は|それを|見もせずに|指を|閉じ、|道の|真ん中に|立ったまま、|彼が|自転車に|またがって|村へ|向かうのを|目で|追った。

メグレは|郵便局に|立ち寄り、|パリ宛ての|電報を|したためた。
至急|照会。|先週土曜日|午後三時、|アンリ・ガレの|所在を|確認されたし。||メグレ。||サンセール。

「もういいよ、|旦那!」

「急ぎだと|自分で|おっしゃったじゃないですか、|警部!|それに、|もう|何も|感じません!」

健気な|モエルスよ!||医者は|頭に|六発|食らったかのような|大げさで|分厚い|包帯を|巻いていた。||白い|包帯の|真ん中に|輝く|レンズの|鼻眼鏡が|妙な|格好だった。
七時まで、|メグレは|彼の|ことを|気に|かけていなかった。||傷は|軽いと|分かっていたからだ。||戻って|みると、|モエルスは|朝と|同じ|場所に、|ガラスの|プレートと|ろうそくと|アルコール|ランプを|前に|して|座っていた。

「ところで、|ジャコブに|関しては|もう|何も|見つかりません。||クレマン署名の|手紙を|一通|復元しました。||誰宛てか|分かりませんが、|亡命中の|王子への|贈り物について|書かれています。||『obole(献金)』という|語が|二回、|『loyalisme(忠誠)』という|語が|一回|あります」
これは|79ページの|内容ですね。||個人設定に|従って|翻訳します。

「二次的な|関心事だな」1
それは|明らかに|ガレの|詐欺に|関わる|ものだった。||ピンクの|ファイルの|検討と、|ベリー地方や|シェール地方2の|城館の|主人たちへの|電話が、|メグレに|その点を|教えていた
結婚から|三、四年後、|おそらく|義父の|死から|一、二年後という|曖昧な|時期に、|エミール・ガレは|相続した|「ル・ソレイユ」紙の|古い|書類を|利用しようと|思いついた。
少部数しか|刷られず、|ごく|限られた|読者だけに|配られていた|この新聞は、|プレジャンの|筆を通じて、|地方の|一部の|小貴族たちに|ブルボン家が|フランスの|王位に|返り咲く|希望を|抱かせていた。||
メグレは|「ル・ソレイユ」の|バックナンバーを|めくり、|半ページが|常に|寄付の|リストに|充てられているのに|気づいた。||苦境に|立たされた|旧家の|ために、|宣伝資金の|ために、|あるいは|記念日を|盛大に|祝うために、|といった|名目だった。||
これが|ガレに|王党派の|詐欺師になる|アイデアを|与えたに|違いなかった。||彼は|彼らの|住所を|持っており、|リストから、|各人に|どの程度|たかれるか、|どの|感情に|訴えれば|いいかまで|知っていた。

「他の|書類と|同じ|筆跡で?」

「同じです。私の|師匠、|ロカール教授なら|もっと|詳しく|お話しできますが。||落ち着いた、|丁寧な|筆跡です。||ただ、|語尾に|焦りと|落胆の|兆しが|見られます。||筆跡学者なら、|これを|書いた|人物は|病気で、|それを|自覚していたと|迷わず|断言するでしょう」

「なるほど!|それで|十分だ、|モエルス!||もう|休んでいい」
メグレは|キャンバス製の|ブラインドに|開いた|二つの|穴を|見つめた。||弾丸が|開けた|二つの|穴だ。

「さっきいた|場所に|戻ってみてくれ」
彼は|難なく|弾道を|割り出した。

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「同じ|角度だ」と|彼は|結論づけた。
「同じ場所から、|壁の|頂上から|撃たれている。||でも、|あの|音は|何だ?」

彼は|ブラインドを|上げ、|小道で|庭師が|高い|草と|イラクサの|間を|熊手で|かき回しているのを|見た。

「そこで|何を|している?」と|メグレは|声を|かけた。

「旦那様に|言われまして」

「鍵を|探せと?」

「その通りです!」

「その場所に|探させたのも|旦那様か?」

「旦那様も|敷地内を|探しています。料理人と|従僕は|家の|中を|捜索しています」
メグレは|荒々しい|仕草で|ブラインドを|下ろし、|再び|モエルスと|二人きりに|なると、|低く|口笛を|吹いた。

「ほう!|ほう!|賭けてもいいぞ、|モエルス!|鍵を|見つけるのは|あいつだ」

「どの|鍵ですか?」

「どうでも|いい!|説明すると|長くなる。||ブラインドを|下ろしたのは|何時だった?」

「着いてすぐ、|一時半ごろです」

「小道に|足音は|聞こえなかったか?」

「気に|しませんでした。||やっていた|作業が|馬鹿馬鹿しく|見えて|実は|非常に|繊細なので、|集中して|いましたから」

「分かってる!|ところで、|ジャコブの|ことを|誰かに|話したか?||庭師だったと|思うが。||サン=ティレールは|釣りに|行っていて、|昼食に|戻り、|着替えて|カード遊びに|出かけた。||他の|焼け残りの|書類は|全て|クレマンの|手によるものと|確認できるか?」

「絶対に|確かです!」

「では、|興味なし。||重要なのは|ジャコブ氏署名の|あの|手紙だけだ。||現金、|月曜、|刑務所で|脅すと|書いてある。||二万フランを|その|日までに|要求しているようだ。||犯行は|土曜だった」
ときおり、|外で|熊手が|石に|当たる|音が|した。

「撃ったのは|エレオノールでも|サン=ティレールでも|ないが……」

「おや!」と|突然、|庭師の|声が|した。
メグレは|得意そうに|微笑み、|ブラインドを|上げに|いった。

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「渡せ!」と|彼は|手を|差し出しながら|言った。

「こんな|ところで|見つかるとは|思いませんでした」

「渡せ!」
それは|鍵だった。||骨董屋でしか|お目にかかれないような|型の、|巨大な|鍵だ。||錠前と|同様に|錆びており、|いくつかの|擦り傷が|あった。

「旦那様には、|俺に|渡したと|言うだけでいい。||行け!」

「でも……」

「行け!」
メグレは|ブラインドを|勢いよく|下ろし、|鍵を|テーブルに|放り投げた。

「耳の|ことを|除けば、|今日は|素晴らしい|一日だったと|言えそうだな、|モエルス?||ジャコブ!||鍵!||二発の|銃声、|その他|もろもろ!||どうだ!」

「電報です!」と|タルディヴォンが|告げた。

「言った通りだろう、|モエルス?」と|警部は|一目|見た|後で|言葉を|続けた。
「前進どころか|後退だ。||聞いてくれ。||『三時、|ヘンリー・ガレは|サン=ファルジョーの|母親の|元にいた。||六時も|まだそこにいた』」

「それで?」

「それだけだ!||お前を|撃ったのは|ジャコブしか|残っていないが、|今のところ|ジャコブは|石鹸の|泡と|同じくらい|実体が|ない」
- モエルスが|暖炉の|焼け残りの|書類から|復元した|手紙の|断片に、|「クリニャンクール」という|地名と|「ジャコブ」という|署名が|含まれていました。||
さらに、|ガレの|自宅に|郵便を|届けていた|郵便配達員が、|二、三ヶ月に|一度|届く|青い|封筒の|裏に|「差出人:ジャコブ氏」と|タイプされていたと|メグレに|証言しています。この|二つの|情報から、|メグレは|「ジャコブ氏」という|人物が|ガレを|脅していた|黒幕と|深く|関わっていると|判断しました。
モエルスが|復元した|手紙が|「クレマン(ガレの|偽名)署名で、|亡命中の|王子への|贈り物について|書かれており、|『献金』『忠誠』という|語が|ある」と|報告したのに対し、|メグレが|「それは|大して|重要じゃない」と|答えた|ものです。||
なぜなら、|その|手紙は|ガレが|王党派の|貴族たちを|だますために|使っていた|詐欺の|手紙であることが|すでに|分かっており、|犯人を|特定する|手がかりには|ならないからです。||メグレが|本当に|知りたいのは|「ジャコブ」に|関する|情報だったのです。
↩︎ - ベリー地方と|シェール地方は|フランス中部の|地名です。
ベリー地方(Berry)は|フランス中部の|歴史的な|地方で、|現在の|シェール県と|アンドル県に|相当します。||中世から|貴族や|地主が|多く|住む|地域として|知られています。||
シェール県(Cher)は|ベリー地方の|中心的な|県で、|県庁所在地は|ブールジュです。||サンセールも|この|シェール県に|位置しています。
つまり、|この|物語の|舞台である|サンセールの|周辺地域です。||ガレが|詐欺の|ターゲットに|していた|王党派の|小貴族たちは、|この|地方の|城館に|住む|人々でした。||「ル・ソレイユ」紙の|購読者リストが|そのまま|カモの|リストに|なっていたわけです。
↩︎




