
LCPD順位と順位
2025-26シーズンの最終リーグ順位を加えました。LCPD順位は、冬の移籍市場終了後の上限額が高い順です。金額の単位は100万ユーロです。
| LCPD順位 | クラブ | 夏市場後LCPD | 冬市場後LCPD | リーグ最終順位 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | Real Madrid(レアル・マドリード) | 761.226 | 761.226 | 2位 |
| 2 | FC Barcelona(バルセロナ) | 351.284 | 432.807 | 1位 |
| 3 | Atlético de Madrid(アトレティコ・マドリード) | 326.989 | 336.268 | 4位 |
| 4 | Villarreal CF(ビジャレアル) | 173.084 | 173.084 | 3位 |
| 5 | Athletic Club(アスレティック・クラブ) | 126.050 | 132.050 | 12位 |
| 6 | Real Sociedad(レアル・ソシエダ) | 128.259 | 128.259 | 10位 |
| 7 | Real Betis(レアル・ベティス) | 125.946 | 122.147 | 5位 |
| 8 | Valencia CF(バレンシア) | 91.238 | 95.667 | 9位 |
| 9 | RC Celta(セルタ) | 91.124 | 91.124 | 6位 |
| 10 | Girona FC(ジローナ) | 75.442 | 76.959 | 19位・降格 |
| 11 | RCD Mallorca(マジョルカ) | 60.917 | 60.966 | 18位・降格 |
| 12 | CA Osasuna(オサスナ) | 54.530 | 57.262 | 17位 |
| 13 | RCD Espanyol(エスパニョール) | 56.587 | 57.088 | 11位 |
| 14 | Rayo Vallecano(ラージョ・バジェカーノ) | 47.028 | 48.952 | 8位 |
| 15 | Deportivo Alavés(アラベス) | 40.999 | 47.788 | 14位 |
| 16 | Real Oviedo(レアル・オビエド) | 45.120 | 46.815 | 20位・降格 |
| 17 | Elche CF(エルチェ) | 40.480 | 36.868 | 15位 |
| 18 | Getafe CF(ヘタフェ) | 50.705 | 34.818 | 7位 |
| 19 | Sevilla FC(セビージャ) | 22.139 | 22.139 | 13位 |
| 20 | Levante UD(レバンテ) | 35.537 | 17.446 | 16位 |
| 全20クラブ合計 | 2,704.684 | 2,779.732 |
Levante UD(レバンテ)は、LCPDがリーグ最少の1744万6000ユーロまで下がりながら、最終的には16位で残留しました。一方、Getafe CF(ヘタフェ)はLCPDが18位相当でしたが、リーグでは7位に入りました。Girona FC(ジローナ)、RCD Mallorca(マジョルカ)、Real Oviedo(レアル・オビエド)が降格しています。
ラ・リーガの「財務制限」
ラ・リーガの「財務制限」とは、各クラブが選手や監督などに使える年間費用を、クラブごとの収入と財務状態に応じて事前に制限する制度です。正式には「スポーツ部門人件費上限(LCPD)」と呼ばれ、一般には「サラリーキャップ」と説明されます。
ただし、全クラブが同じ金額に制限されるアメリカ式の制度ではありません。放映権料、入場料、スポンサー収入、選手売却益などの見込み収入から、施設費、借金返済、一般職員の費用など、選手団以外に必要な支出を差し引き、クラブごとに上限が決まります。したがって、収入が大きく財務状態の良いレアル・マドリードは上限が高く、赤字や借金の多いクラブは上限が低くなります。citeturn610958view1
対象になるのは、単なる選手の年俸だけではありません。選手と監督・コーチの給料、契約ボーナス、移籍金の年間償却費なども含まれます。たとえば、選手を移籍金1億ユーロ、5年契約で獲得した場合、基本的には毎年2000万ユーロずつが選手団費用として計上され、さらに年俸などが加わります。下部組織やリザーブチームなどの費用も、広い意味で制限の対象です。citeturn610958view0turn610958view1
重要なのは、クラブにお金があるかどうかだけでなく、ラ・リーガがその収入を正式に認めるかどうかです。クラブがスポンサー契約や資産売却で収入を計上しても、ラ・リーガが継続性や実現性を認めなければ、上限の引き上げには使えません。クラブが希望額を提出し、ラ・リーガの審査機関が財務の安定を損なわない範囲に修正・承認します。citeturn610958view0
上限を超えているクラブは、すでに契約している選手を直ちに解雇しなければならないわけではありません。しかし、新加入選手や契約更新した選手をリーグ戦に登録することが難しくなります。選手を売る、年俸を減らす、契約を解除する、収入を増やすなどして「登録可能額」を作る必要があります。規則上も、原則として利用可能な上限枠が残っていなければ、新規登録や契約更新を認めない仕組みです。citeturn610958view2
つまり、ラ・リーガの財務制限は、単純に「移籍金をいくらまで使える」という制度ではなく、移籍金の分割計上、年俸、ボーナス、既存契約を合計し、クラブが将来も支払える範囲でしか選手登録を認めない制度です。バルセロナが選手と契約できても、登録できるかどうかが別問題になるのは、この制度が理由です。
ラ・リーガの「財務制限」とその効果
LCPDによってラ・リーガは、欧州の中でも早い段階から、赤字を出した後で処罰するリーグではなく、使う前に選手費用を止めるリーグへ変わりました。
2013年以前との違い
以前のスペインでは、移籍や年俸にお金を使った後、税金、他クラブへの移籍金、選手の給料が払えなくなるクラブが少なくありませんでした。そこで2013年から、各クラブの予想収入と財務状態を審査し、シーズン前にLCPDを決める方式が本格的に導入されました。
ラ・リーガの発表では、導入当時に約6億5000万ユーロあった行政機関への債務と、341件あった選手の給与未払い申し立ては、その後ほぼ解消されています。したがって、クラブ倒産や未払いを防ぐという目的では、かなり大きな効果があったといえます。(Página web oficial de LALIGA | LALIGA)
プレミアリーグとの違い
プレミアリーグは長く、過去3年間の赤字額を後から審査するPSRを中心としてきました。そのため、クラブは先に選手を獲得し、その後の選手売却、収入増加、所有者からの資金などで帳尻を合わせる余地が、ラ・リーガより大きくありました。
これに対してラ・リーガでは、LCPDの余裕がなければ、選手と契約していても登録できません。そのためスペインのクラブでは、選手売却、年俸削減、契約解除、期限付き移籍、下部組織の活用などによって、先に登録枠を作る必要があります。バルセロナで繰り返された「獲得はしたが、まだ登録できない」という問題は、この違いが最も表に出た例です。LCPDは、各クラブの予想収入から競技部門以外の支出などを引いて、事前に個別上限を設定する制度です。(Liga de Fútbol Profesional)
ただし、スペインの移籍市場での立場がプレミアリーグより弱くなった原因を、すべてLCPDに求めることはできません。2024―25年のプレミアリーグ全体の収入は68億ポンドだったのに対し、ラ・リーガは41億ユーロでした。使える割合以前に、収入そのものに大きな差があります。(Deloitte)
つまりLCPDは、スペインのクラブがプレミアリーグに選手獲得で負ける直接の原因というより、収入差がある中で、借金や将来収入を使って無理に対抗することも難しくする制度です。
リーグ内の戦力差は縮まったのか
LCPDは、アメリカのスポーツのように全クラブへ同じ上限を設定する制度ではありません。収入の大きいクラブほど、LCPDも大きくなります。
実際、2024―25年にはレアル・マドリードとバルセロナの2クラブだけで、ラ・リーガ全体の収入の約52%を占めました。したがってLCPDの主目的は、上位と下位の戦力を平等にすることではなく、各クラブが自分の収入の範囲内で経営することです。(Deloitte)
この意味では、レアル・マドリードのように収入が大きく財務状態の良いクラブは、LCPDによる不利益が比較的小さい一方、借金が多いクラブや収入が落ちたクラブには、非常に厳しく働きます。
他の欧州リーグがスペインに近づいてきた
導入当初、ラ・リーガのように選手登録の前段階で厳しく支出を制限する仕組みは、欧州主要リーグでは珍しいものでした。例外はフランスで、DNCGという財務監督機関が以前からクラブ予算を審査し、必要に応じて給与総額や移籍活動を制限していました。フランスでは、人件費と移籍費を対象収入の70%以内にする指標も導入されています。
しかし現在は、ほかのリーグもラ・リーガ型に近づいています。UEFAは2025―26年から、選手・監督の給与、移籍金の償却、代理人手数料を収入の70%以内にする「スカッド・コスト・ルール」を完全適用しました。(UEFA.com)
プレミアリーグも2026―27年からPSRを新制度へ切り替え、国内では選手関連費を収入などの85%以内にします。欧州大会に出るクラブについては、UEFAの70%基準も守らなければなりません。また、シーズン終了後だけでなく、シーズン中にも順守状況を調べる方式へ変わります。(プレミアリーグ)
ドイツも2026―27年から段階的にスカッド・コスト規則を導入し、2028―29年には原則70%以内とすることを決定しました。違反時には罰金、勝ち点減点、選手登録禁止まであり得ます。
イタリアも2026年夏から、選手費用などを収入の70%以内とする「拡大人件費指標」を移籍市場の規制に使う制度へ移行しています。基準を守れないクラブは、移籍活動を制限される可能性があります。(FIGC)
結論
LCPDによってラ・リーガは、欧州で最も早く、選手登録と財務審査を直接結びつけた主要リーグの一つになりました。
その結果、税金や給料の未払いは大幅に減り、経営は安定しました。一方で、収入が落ちたクラブはすぐに補強を制限されるため、プレミアリーグなどと比べて移籍市場で動きにくくなりました。
ただし現在は、UEFA、プレミアリーグ、ブンデスリーガ、セリエAも同じ方向へ進んでいます。したがって、かつてはラ・リーガだけが極端に厳しく見えましたが、今では欧州全体がラ・リーガの先行した事前型の財務管理へ近づいていると見るのが適切です。


