永久路歩浪

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形式的な手がかり——『点訳の手引き』の一部適用

前回、8拍以上になった時の区切る箇所として第3の補助原則「抑揚分ち書き」について書きました。ラボ流では8拍以上の長い文節になることが多いので、読み手の負担を減らすために、文法や拍数を基準にした『点訳の手引き』を一部適用した「形式的な手がかり...
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ラボ流:第3の補助原則「抑揚分かち書き」

抑揚分ち書き点訳をしていると、ときどき「これはちょっと長すぎるなあ」と感じる文節に出会います。ラボ流では「8拍以上は読み手の負担になるので、どこかで区切る」という暫定ルールを持っていますが、文節や「切れ続き」の原則を使っても、うまく区切れな...
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翻訳研究|「rôle」 サーカムフレックスとは?——ベンスン殺人事件

サーカムフレックスヴァンダインの原文には、しばしば「rôle」のようなアルファベットの上に記号が現れます。これは、サーカムフレックス記号(^)と言われるものです。現代英語では「role」が一般的ですが、なぜサーカムフレックスがついているので...
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作品背景|田舎のバザーに呼ばれる「プリンセス」——スタイルズ荘の怪事件

プリンセスがオラが村に!?探偵小説の舞台となるイギリスでは、田舎のバザーや慈善行事に「プリンセス(the Princess)」が招かれる場面がしばしば描かれます。現代の日本人が読むと、皇室の姫君(内親王殿下、女王殿下)がそんな場に顔を出すの...
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第一章 フィロ・ヴァンスの部屋

注記(区切り記号について)この翻訳文には、点字に対応させるための区切り記号(マス空け)を入れています。「|」… 1マスあけ「||」… 2マスあけ点訳の際に必要となる区切りを、見える形で示しています。読み進めるうちに、文章のリズムや切れ目を意...
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作品背景|「へなちょこ」ヘイスティングスの早すぎる退場

——なぜヘイスティングスは長編2作目で結婚退場したのか——ヘイスティングスが結婚するのは『The Murder on the Links(ゴルフ場の殺人事件)』、つまりポワロ・シリーズの長編としては第2作目です(1923年刊)。ここで面白い...
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翻訳研究|フィロ・ヴァンス?ファイロ・ヴァンス?——ベンスン殺人事件

どちらも「Philo Vance」の日本語表記として使われてきましたが、整理してみました。🔹 原語Philo Vance(ファーストネームPhiloは、ギリシャ語由来で「愛する者」という意味。ラテン語の "Philos" に近い発音です)🔹...
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作品背景|イギリスには戸籍制度がない?ミセス・イングルソープと夫婦別姓

イギリスには「戸籍制度」がない日本では、結婚によって必ず夫婦どちらかの姓を選び、戸籍に記載されます。しかしイギリスには、日本のような「家単位の戸籍制度」は存在しません。中世以来、出生・結婚・死亡は教会のパリッシュ・レジスター(教区簿)に記録...
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🍎リンゴ研究|BES専用機には「MacBook 無印」

きっかけこれまで、BES入力は安い Windows ノートを使っていた。しかし、Macのキータッチに慣れている私には、どうもしっくりこない。MacBookのキータッチに似ているWindowsといえば、「Microsoft Surface L...
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点字の本質に触れた瞬間——踊る人形

目を瞑った方が速い ― 点字という暗号BESで六点入力をしていると、ふと気づくことがある。目を開けて打つより、目を閉じてしまった方が、指先が滑らかに動くのだ。点字はもともと「目で追う文字」ではない。触覚で確かめ、指先の記憶で解き明かすものだ...