作品背景

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🇬🇧作品背景|イギリスの女性は結婚すると姓を変えるのか?

ミセス・イングルソープと姓の慣習『スタイルズ荘の怪事件』で、エミリー・キャヴェンディッシュが再婚して「ミセス・イングルソープ」と呼ばれる場面があります。日本語の読者には違和感がありませんが、そこにはイギリス社会の結婚と姓の慣習が反映されてい...
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🇬🇧作品背景|ホームズからポワロへ —— 第1次大戦とグローバル化

ホームズからポワロへ —— 第1次大戦とグローバル化アガサ・クリスティーが創り出したポワロとヘイスティングスのコンビには、コナン・ドイルのホームズ譚への明確なオマージュが見られる。そして同時に、第一次世界大戦後という時代背景が、その探偵像を...
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🇮🇹🇺🇸作品背景|メディチ家の肖像画——ベンスン殺人事件

フィロ・ヴァンスの容姿を例えると、その口元はメディチ家の肖像画のよう禁欲的な冷たさがあったという。I am thinking particularly of Bronzino’s portraits of Pietro de’ Medici...
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作品背景|フーシェの言葉とヴァンス——ベンスン殺人事件

ヴァンスの引用ベンスン殺人事件の中で、ヴァンダインがヴァンスを評する次の一節があります。His snobbishness was intellectual as well as social. He detested stupidity e...
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作品背景|フィロ・ヴァンスと東洋美術ブーム

ヴァンスの引用ヴァンスの美術コレクションには、私たちが聞いたことのない、中国の版画作家の名前が並ぶ。Vance’s Chinese prints constituted one of the finest private collectio...
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作品背景|フィロ・ヴァンスと1920年代アメリカの美術コレクターたち

1920年代のアメリカ大戦後のアメリカの繁栄第一次世界大戦後、アメリカは未曾有の経済的繁栄を迎えた。ヨーロッパの没落した貴族や旧家が財産を手放す中、アメリカの新興富裕層はその財力を背景に美術市場の主役となった。美術品の収集は単なる趣味にとど...
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作品背景|1920年代アメリカ、ジャズ・エイジ——ベンスン殺人事件

ヴァンスの皮肉ヴァン・ダインの『ベンスン殺人事件』の一節である。“This chap Vollard,” he remarked at length, “has been rather liberal with our art-fearin...
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作品背景|田舎のバザーに呼ばれる「プリンセス」——スタイルズ荘の怪事件

プリンセスがオラが村に!?探偵小説の舞台となるイギリスでは、田舎のバザーや慈善行事に「プリンセス(the Princess)」が招かれる場面がしばしば描かれます。現代の日本人が読むと、皇室の姫君(内親王殿下、女王殿下)がそんな場に顔を出すの...
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作品背景|「へなちょこ」ヘイスティングスの早すぎる退場

——なぜヘイスティングスは長編2作目で結婚退場したのか——ヘイスティングスが結婚するのは『The Murder on the Links(ゴルフ場の殺人事件)』、つまりポワロ・シリーズの長編としては第2作目です(1923年刊)。ここで面白い...
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作品背景|イギリスには戸籍制度がない?ミセス・イングルソープと夫婦別姓

イギリスには「戸籍制度」がない日本では、結婚によって必ず夫婦どちらかの姓を選び、戸籍に記載されます。しかしイギリスには、日本のような「家単位の戸籍制度」は存在しません。中世以来、出生・結婚・死亡は教会のパリッシュ・レジスター(教区簿)に記録...