翻訳研究|フィロ・ヴァンス?ファイロ・ヴァンス?——ベンスン殺人事件

ハイブリッドラボ

どちらも「Philo Vance」の日本語表記として使われてきましたが、整理してみました。


🔹 原語

Philo Vance
(ファーストネーム Philo は、ギリシャ語由来で「愛する者」という意味。ラテン語の “Philos” に近い発音です)

🔹 日本での慣用表記

  • 戦前〜戦後の翻訳 → フィロ・ヴァンス
    • 江戸川乱歩や中島河太郎の評論、早川書房の旧訳などで広く使われた。
  • 一部の翻訳・研究 → ファイロ・ヴァンス
    • 英語読み「ファイロ」に忠実なため採用された例もある。

🔹 現代の音声に近い発音

  • 英語圏では「ファイロ」が自然。
  • ただし、日本の探偵小説史において定着したのは「フィロ」。

結論

私が取り組む『ベンスン殺人事件』の翻訳では、「フィロ・ヴァンス」を使います。
理由は:

  • 日本の探偵小説ファンに馴染みがある
  • 江戸川乱歩や評論で引用されるときも「フィロ・ヴァンス」
  • 歴史的に定着しているため、読者に違和感がない

馴染みのある固有名詞は、敢えて正確な発音で表記する必要もないでしょう。
なんたって、習近平(シージンピン)→ 「しゅうきんぺい」ですからね!