点訳研究|4字漢字——必ず区切る必要あるか?

彼は予審判事である。

これまで、何の疑問も持たずに当然のごとく

彼は|予審|判事である。

4字漢字は、真ん中で区切っていた。もちろん意味のまとまりとしても真ん中で区切っておかしくない。

しかし、前々から少し違和感があった。

意味のまとまりで区切るとすれば、「予審」と「判事である」に分けるのは不自然だ。

なぜなら、「予審判事」で一つの職名であり、「判事である」が意味のまとまりではないのだ。

英語で考えればすぐにわかる。

He is the examining magistrate
「彼は予審判事である」

He= 彼は
is = である(コピュラ文、A=Bの『=』)
the examining magistrate = 予審判事

この3つが、意味のまとまりであることは明白だ。
「the examining| magistrate」などと区切って、「is the magistrate」と無理にまとめようとは誰も考えないだろう。

しかし、点役では当然のごとくそうするのだ!?
そもそも、「よしん」と「はんじ」を区切ることによって、誤読の可能性さえ拭いきれない。

かれは|よしん|はんじである

表音式で「よしん」という言葉に「副詞」(「しょせん」「かつて」など)の意味がなくて幸いであった。


つまり、意味のまとまりとして区切るのであれば、

彼は|予審判事|である。
かれは|よしんはんじ|である

予審判事:6拍であり、ラボ流では特に読み手の負担にはならない。

ただ、文法から入ると、「である」の「で」が助動詞であるから、自立語ではないという区分のもとで文節としてみなされない。

第1の原則「文節分かち書き」も、そろそろ見直してみたらどうか?
例えば、上記のような「コピュラ文」に限って、文節分ち書きの例外にするなどである。

おそらく、もっと根底から考え直す必要があるとは思われるが・・・