🇫🇷フランス語|セリフで使われる「複合過去」


会話の中の、”事実の確認・出来事の報告” は、複合過去が使われる

複合過去

複合過去は「今この瞬間に関連を持つ、完了した事実」を述べるときに使われる。

  • 彼女が 何を聞いたか
  • 彼女が 何を見たか
  • 彼女が 何を警察に話したか
  • メグレが パリから来たという事実

など、すべて “もう起きた” 事実を、会話の中で相手に伝える場面

だから複合過去になる。むしろ、複合過去以外で言うほうが不自然になる。


半過去

半過去(imparfait) は:

  • 継続
  • 状態
  • 背景
  • 習慣
  • 心の動き・感情の流れ

を描くときに使う時制。

たとえば:

  • Elle se tenait debout.(彼女は立っていた)
  • Elle cherchait ses mots.(言葉を探していた)

こういう「継続する状態」には半過去。

しかし、

  • パリから“来た”こと
  • 警察に“話した”こと
  • 人から“聞いた”こと
  • “見た”こと

これは 一回動作 であり、かつ“結果が現在につながっている”。

→ 半過去では「背景」になってしまい、事実の提示にならない。


単純過去

単純過去は:

  • 文語体
  • 叙述文(地の文)
  • 作家が語る過去の出来事

で使われる時制。

会話には普通使わない。

台詞で単純過去を使うと“19世紀の芝居のように不自然で古風” になり、シムノンの会話のリアリズムが壊れる。

例えば:

× Je vins de Paris.
× Je parlai à la police.
× J’appris cela.

こんな台詞は、シムノンの世界では絶対に出ない。


会話と地の文の切り分け

  • Elle rougit.
  • Elle ajouta.
  • Son regard tomba.

などは 地の文(メグレ側の叙述) だから単純過去。

つまり:

  • 会話 → 複合過去
  • 地の文 → 単純過去(シムノンの叙述)、半過去(背景)

この切り分けが非常に明確。


まとめ

会話の中で複合過去が多い理由:

  1. 会話で語られるのは “完了した事実” だから
  2. 「報告」「証言」「伝聞」を示すのに最適の時制
  3. 半過去だと“状態”になり意味が変わる
  4. 単純過去は会話に使うと不自然すぎる(文語すぎる)

だから、シムノンの会話は 複合過去が基本 になる。