3層フレームの第3層の具体的適用

斜め上から見る点訳論

点訳する際は、まず3段階基準を使うが、迷ったときは、3層フレームの第3層に照らして最終判断する(3層フレームについてはこちら💁‍♂️

  • 原則として自立語と助詞・助動詞は続け書くが、未知の固有名詞・制度名・地名・会社名など、明らかに「読み手にとって重要な名称」の後では、誤読を防ぐために付属語の前を切って書くことを許容する。

【事例1】
「東京都は、」vs「東京とは、」

  1. 『手引き』の原則
    • 助詞は前語と続け書きするため、どちらも 「とうきょうとは(とーきょーとわ)」 となる。
  2. 問題点
    • 墨字(漢字表記)では「都」と「と」で区別できるが、
      点字(表音式)では区別できず、誤読のリスクが高い。
  3. ラボ流の対応
    • 読み手視点(第3層)を適用し、意味の曖昧さを避けるために区切る。
    • 許容表記例:
      • 東京都|は、(とーきょーと□わ、)
      • 東京|とは、(とーきょー□とわ、)
    • または、第2カギ記号を使う。
      • <東京都>は、(<とーきょーと>わ、)
      • <東京>とは、(<とーきょー>とわ、)

【事例2】
「日本の首都は、東京というが、かつては京都だった」
vs「日本の首都は、彼は東京と言うが、わたしは京都と言った」

    1.  『手引き』の原則
      • 助詞は前語と続け書き、動詞は区切って書くため、すべて「 とうきょうと|いう」(とーきょーと□いう) となる。
    2. 問題点
      • 墨字(漢字表記)では「いう」と「言う」で区別できるが、
        点字(表音式)では区別できず、誤読のリスクが高い。
    3. ラボ流の対応
      • 読み手視点(第3層)を適用し、意味の曖昧さを避けるために区切る。
      • 許容表記例:
        • 東京|というが、(とーきょー□というが、)
        • 東京と|言うが、(とーきょーと□いうが)
      • これについては、第2カギを使っても区別できない
        • <東京>と|いうが、(<とーきょー>と□いうが)
        • <東京>と|言うが、(<とーきょー>と□いうが)
      • 日本の首都は、彼は「東京」と言うが、わたしは「京都」と言った。
        • 底本に、第1カギがついていれば区別はできる。しかし、ついていない場合に点訳で勝手に第1カギをつけることは許されない(改変にあたり、著作権に抵触する可能性がある)

【意義】
点字は表音式であるため、墨字では起こらない誤読が発生する。
そのため、触読では誤読の可能性があり「意味の区別を明確にすべき場面」では、助詞の直前でも切る。