永久路歩浪

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読み手不在の点訳 ー実例編5

先日書いた記事、読み手不在の点訳 ― 実例編4の続きです。ライトハウス——その後結局、ライトハウスの点訳講習は、案内文を読んで「これは自分のやりたい方向とは違う」と感じ、辞退することにしました。ただ、お詫びのメールを送った際に、ダメもとで「...
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作品背景|アルフレッドの服装に映る都会と田舎の対立——スタイルズ荘の怪事件

『スタイルズ荘の怪事件』には、登場人物たちの発言や仕草の中に、当時のイギリス社会の価値観が自然に映し出されています。ジョン・キャベンディッシュが、義母の再婚相手アルフレッドを指して「absolute outsider」と批判する場面もその一...
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作品背景|なぜエセックスが舞台になったのか——スタイルズ荘の怪事件

ロンドン郊外としてのエセックスエセックスはロンドンの東隣に位置し、鉄道で1〜2時間ほどで到達できる距離にある。都会からは近いが、農村的要素も色濃く残り、「都会に隣接しながらも隔絶感のある舞台」として読者にリアルに感じられる土地だった。(作品...
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点訳研究|「左」とはどこ?

右手首シャーロック・ホームズの「赤毛連盟」の中のホームズのセリフで、次のような1節がある。あなたの|右手首の|すぐ|上に『点訳の手引き』によれば、複合語内部で区切って書くのは、3拍以上の意味のまとまりが2つ以上ある場合である。したがって、「...
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ラボ流、翻訳テクニック

ハイブリッドラボでは翻訳と点訳を並行した同時作業として翻訳しています。市販の文庫本は、翻訳者も点字にすることまで意識して翻訳してないと考えるのは自然だと多います。しかし、翻訳と点訳を同時にやると、ちょっとした翻訳の工夫で、点字にした場合の読...
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暫定基準|3文字漢字

3文字漢字は4字漢字と違って、続け書きするか切れ続きか悩むケースが多い。そこで、点訳者の便宜のために、ハイブリッドラボ流で、形式的な暫定基準を定める。今後、事例を集めることにより、『点訳の手引き』にビクビクしないラボ流の基準として耐えうるか...
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作品背景|20世紀初頭のイギリスの「バザー」——スタイルズ荘の怪事件

アガサ・クリスティ『スタイルズ荘の怪事件』には、キャベンディッシュ夫人が「バザーを開くのが好きだった」と描写される一節がある。She was a most generous woman, and possessed a considerab...
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3層フレームの第3層の具体的適用

点訳する際は、まず3段階基準を使うが、迷ったときは、3層フレームの第3層に照らして最終判断する(3層フレームについてはこちら💁‍♂️)原則として自立語と助詞・助動詞は続け書くが、未知の固有名詞・制度名・地名・会社名など、明らかに「読み手にと...
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赤毛連盟|裂け目から現れる「白い手」

——市販の文庫本と独自翻訳の比較から——文庫本訳(引用)『・・・やがて音もなく裂け目が広がって、手が1本現れた。白い、まるで女のような手だったが、それが光の放射する狭いエリアの中心であたりをまさぐった』この訳は非常に淡々としています。ワトス...
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点訳手引きの「ぶつ切り」とラボ流の自然な感覚

点訳の手引きには、「楽しみに|して|いる」といった具合に、品詞ごとに細かく区切るような指示が見られます。公式の理由は「意味の明確化」「誤読防止」。確かに文法的に見れば、「して」は動詞「する」の連用形、「いる」は補助動詞。どちらも「動詞」であ...