フランス語副詞形成の「本当の仕組み」
フランス語を学び始めると、必ず聞くのが「形容詞に -ment をつけると副詞になる」という説明です。
これは おおむね正しい のですが、実際にはもう少しだけ整理が必要です。
ここでは、翻訳をしていて迷わないよう、フランス語の副詞形成を「最短で」「正確に」まとめます。
原則:形容詞の 女性形 + -ment
フランス語では、多くの副詞が
女性形の形容詞 + -ment
で作られます。
例:
- lente → lentement(ゆっくり → ゆっくりと)
- sérieuse → sérieusement(まじめな → まじめに)
- naturelle → naturellement(自然な → 自然に)
ポイントは、「男性形ではなく、女性形につける」ということ。
男性形につく例外(母音で終わるもの)
語尾が母音で終わる男性形は、そのまま -ment を取ることがあります。
- vrai → vraiment(本当に)
- absolu → absolument(絶対に)
「女性形にしなくても音が滑らかに出る」ためです。
特殊:-ant/-ent で終わる形容詞
このタイプは 音の都合で形が変わる ため要注意。
- constant → constamment(絶えず)
- évident → évidemment(明らかに)
つづりは違っても、音は ɑ̃ 系または ɑ̃mɑ̃ 系になります。
そもそも -ment で作れない副詞がある
学習者が最初にぶつかる壁がこれです。
英語と違い、形容詞から派生しない副詞 が多数存在します。
- bon → bien
- mauvais → mal
- meilleur → mieux
- pire → pis / pire
これらは 完全に別語として覚える 必要があります。
文中での意味は “英語の -ly” より幅広い
フランス語副詞は、
- 動詞を修飾
- 形容詞を修飾
- 文全体の判断や話し手の態度を表す
など、多機能です。
例:
- Il parle lentement.(動詞を修飾)
- vraiment important(形容詞を修飾)
- Évidemment, il n’était pas d’accord.(文全体を修飾)
日本語の訳し分けでは、「〜に」「〜と」「〜なのだ」「〜のだ」と柔軟に調整したほうが自然になります。
Simenon を読むときの注意
Simenon(メグレ)は、副詞の配置が非常に独特 です。
- 感情の強調
- 文のテンポ
- 人の“態度”の描写
これらを副詞で細かく調節します。
例:
- vaguement(どこか)
- doucement(静かに/やわらかく)
- étrangement(妙に)
- simplement(ただ~しただけ、というニュアンス)
Simenon のリズムは、副詞の置き方で決まると言ってもよいほどです。
翻訳では、機械的に「〜に」としないで文脈で“効果”を読むことが重要になります。
まとめ(実用最短版)
- 原則:女性形 + -ment
- 母音終わり形容詞は男性形で OK
- -ant/-ent は -amment/-emment
- bien / mal / mieux / pire などは別語
- 文全体を修飾する副詞の働きが強い
- Simenon は副詞の配置が翻訳の要
お望みのテーマをお知らせください。

