文の構造については、学校で習った「学校文法」よりも、現代言語学の「生成文法」の仕組みでシステム的に覚えるとわかりやすくなリます(特に理系)。
「形容動詞」に違和感があって、「イ形容詞」「ナ形容詞」で覚える方がわかりやすのと同じでしょう。
文(節)の階層構造
日本語の文は、「節」(単文節、従属節、並列節)によって組み立てられます。
生成文法では、「節」は「句(phrase)」の階層でできていると考えます。
それぞれの句は、主要部(head)を中心に組み立てられます。
具体的に意味を持つ品詞によって各種インスタンス(意味を持った句)が作られます。
このインスタンスは、点訳における文節分かち書きの「文節」と考えると理解しやすいと思います。
主な略号|インスタンスの種類
「Xバー理論」から、品詞によって次のようなインスタンスが作られます。
- NP = 名詞句 (Noun Phrase)
- VP = 動詞句 (Verb Phrase)
- TP = 時制句 (Tense Phrase)
- CP = 補足句/文全体 (Complementizer Phrase)
具体例
単文節「雨が降る。」
- NP(名詞句)
- 「雨が」 = 主語の部分
- VP(動詞句)
- 「降る」 = 動詞を中心とした句
- TP(時制句)
- 文には必ず「時制」がある(過去・現在・未来)。
- 「(現在)降る」 という形で、動詞を時制が支配する。
- CP(補足句)
- 文全体を支配する層。
- 「か」「と」などの接続詞・終助詞がここに入る。
- 例:「雨が降るか」「雨が降ると」
生成文法
Xバー理論では、XPという一般構造を名詞句(NP)、動詞句(VP)に分けていましたが、生成文法ではCP(Complementizer Phrase)でまとまった(Complement)「節」の構造を説明しています。
節の構造
CP
└─TP
├─NP(雨が)
└─T'
└─VP(降る)
- 節全体をくくるのが CP
- 時制をあらわすのが TP
- 動詞を含むのが VP
- 名詞を含むのが NP
インスタンスのイメージ
- VP = 動詞のまとまり(動詞区)
- NP = 名詞のまとまり(名詞句)
- TP = 「時制」を表す層(副詞句)
- CP = 接続助詞・終助詞が入り(補足句)→ 構造全体をまとまて「完全句 / 節」となる
ポイント
- 学校文法だと「述語」「主語」で済むところを、生成文法では「どの要素がどこに属しているか」を精密に分けます。
- このシステムによって、複雑な文を「複文」=CPの中にさらにCPが埋め込まれている構造、として説明できるわけです。

