点訳の実務では、言葉が慣用的に使われているかどうかを確認する場面が多くあります。そんなときに頼りになるのが、小型国語辞典です。7〜8万語を収録し、机上でも扱いやすく、それぞれに特色があります。
ここでは、特に点訳で役に立つ信頼できる3冊を紹介します。
三省堂『新明解国語辞典』
語のニュアンスや生活感を反映した解説が特徴。慣用表現のニュアンスをつかむのに便利です。
点訳に役立つように、表音式表記(漢語の「ou」) も表示されてます。

大修館『明鏡国語辞典』
明快な説明と豊富な用例で、実際の使われ方を調べやすい辞典です。

岩波書店『岩波国語辞典』
学問的に堅実で信頼性が高く、用法や意味の整理を厳密に確認できます。

この3冊を揃えておけば、
「ニュアンス」―「用例」―「学問的整理」
の三つの角度から言葉を検討でき、点訳作業に大きな助けとなります。
私は「新明解」がお気に入りですが、書店に行くと第8版では箱の色が違う赤青白3種類があって、思わず3冊「ジャケ買い」しそうになります(汗。内容が同じ小型版も入れると4種類もあるようです。
また、最新版でなく一つ前の版であれば、ブックオフなどで3冊とも1冊1,000円程度入手できます。
慣用語で「辞書に載っている、載っていない」など、グループで揉める場合は、例えばこの3冊のうちで「2冊に載っていれば慣用性がある」などというような、形式的な判断ができるでしょう。
ちなみに、ラボ流では、この3冊で「1冊でも載っていれば慣用性あり」と判断するようにしています。
理由は、単純に「辞書を開く手間が減るから」です。
また、広辞苑・大辞林・大辞泉といった、中型辞書は開くことは滅多にありません。
理由は、現代ではほぼ使われることのない「古い言葉」まで掲載されており、慣用性に限っては判断の妨げになるからです。文法的な判断は上記3冊で必要かつ十分です。