コナン・ドイル


アーサー・コナン・ドイル
(Arthur Conan Doyle, 1859–1930)

アーサー・コナン・ドイルは、19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したイギリスの小説家であり、近代推理小説の発展に決定的な役割を果たした人物です。
医師としての経歴をもち、観察力と論理的推論を武器とする探偵シャーロック・ホームズを創造しました。ホームズの物語は、綿密なプロット、鮮やかな謎解き、そして独特の人物描写によって、推理小説というジャンルを世界的に普及させました。

ドイルは、当時まだ発展途上だった「探偵小説」に科学的推理論理的構成を導入し、物語を単なる娯楽から知的なゲームへと高めました。
また、物語の語り手としてワトスン博士を配し、読者と探偵の間に距離感と共感を生み出す手法は、その後の多くの探偵小説作家に継承されました。


推理小説を書くきっかけ

ドイルはエディンバラ大学医学部で学んでいた頃、外科医ジョセフ・ベル教授の診察法に強い感銘を受けました。
ベル教授は患者の服装や仕草、発言から生活背景や職業を的確に推測する観察力をもち、この観察と推論による診断法がシャーロック・ホームズの直接のモデルとなりました。

医師として開業後、診療の合間に小説を書き始め、1887年に長編『緋色の研究』でホームズを初登場させます。創作は生活の糧を得る手段であると同時に、自分が愛読してきた探偵小説への挑戦でもありました。


影響を受けた作家

  • エドガー・アラン・ポー – 「モルグ街の殺人」に登場するデュパン探偵の推理法は、ホームズの先駆的存在。
  • エミール・ガボリオ – ルコック警部シリーズの科学的捜査や心理分析の手法を吸収。
  • ウィルキー・コリンズ – 『月長石』などに見られる複雑な構成や複数視点の語りに影響を受ける。

シャーロック・ホームズ シリーズ

※初出順・長編/短編別

長編

  1. 緋色の研究 A Study in Scarlet(1887)
  2. 四つの署名 The Sign of the Four(1890)
  3. バスカヴィル家の犬 The Hound of the Baskervilles(1902)
  4. 恐怖の谷 The Valley of Fear(1915)

短編集

  • シャーロック・ホームズの冒険 The Adventures of Sherlock Holmes(1892)
  • シャーロック・ホームズの回想 The Memoirs of Sherlock Holmes(1893)
  • シャーロック・ホームズの帰還 The Return of Sherlock Holmes(1905)
  • シャーロック・ホームズ最後の挨拶 His Last Bow(1917)
  • シャーロック・ホームズの事件簿 The Case-Book of Sherlock Holmes(1927)

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まとめ


ドイルは、医師として培った観察力を、ポーやガボリオらが築いた探偵小説の形式と融合させ、近代的な推理小説の確立に大きく貢献しました。