作品背景|第一次大戦とアメリカ海軍

作品背景

🇺🇸⚓ アメリカ海軍とフランス(1917–1918)

L’instant d’après, il avait à la main un calot de marin américain pareil à ceux de Vladimir.

次の|瞬間、|彼の|手には、|ウラジミールの|かぶっていた|ものと|同じ、|アメリカ|水兵の|帽子が|握られていた。

アメリカ参戦

アメリカ合衆国は1917年4月6日にドイツへ宣戦布告し、第一次世界大戦に参戦しました。
その直後から、アメリカ海軍(U.S. Navy) はヨーロッパ派遣を開始します。

フランスでの展開

アメリカ海軍はフランス沿岸に多数の基地を設けました。代表的なものは――

  • ブレスト(Brest):大西洋側ブルターニュ地方の主要港。米海軍の司令部が置かれる。
  • サン=ナゼール(Saint-Nazaire):アメリカ兵の輸送船団の拠点。
  • ル・アーヴル(Le Havre)ロリアン(Lorient)ボルドー(Bordeaux):補給や修理、潜水艦対策の基地。

これらの港には数千人のアメリカ水兵が滞在し、フランス市民にも強い印象を残しました。

当時のアメリカ海軍の印象

白いセーラー帽、明るい笑顔、チューインガム、ジャズ、自由な気風――
フランス人の目には、「marins américains」は陽気で大らかな連中に映ったようです。
だから1930年代の小説で「アメリカ水兵の帽子」と言えば、
一種の象徴的アイテム(自由、放縦、異国風)として機能します。


アメリカ水兵の帽子

  • 第一次大戦中、アメリカ海軍は実際にフランスに駐留した。
  • 主な基地はブレスト、サン=ナゼール、ル・アーヴルなど。
  • その姿や服装(白いセーラー帽)はフランス人に強い印象を残し、1930年代の小説にも「marin américain」という文化的記号として登場する。

つまり、メグレが見つけた「アメリカ水兵の帽子」は、単なる衣服ではなく――戦後フランス人の記憶に刻まれた“異国の自由人”の象徴でもあるわけです。

白い布地で、丸く平らな形の帽子(いわゆる“セーラーキャップ”)は、1930年代のフランスでも「アメリカ映画で見る格好いい水兵」の象徴とされ、異国的で少し軽薄な印象を伴います。
したがって、ウラジミールがそれをかぶっていたという描写は、彼の遊び人らしい性格や、外国風の派手さを示す効果をもっています。